右手にはワインを、左手にはビールを。- そそぐTV -

食の世界に魅せられて。美味しい料理やお酒が好きなアラサーです。 「食のエンターテイメント」を、皆さんと共有出来たら良いなと思います。

ヴィンテージの冒険

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昔は趣味で色々なバーを飲み歩いた私。店によってそれぞれの趣向が凝らされていて、それはそれは面白いものだ。マスターが好きだから、最寄駅でなくとも通ってしまう、そんなこともあった。

以前、行きつけのバーのマスターが面白いことをしていた。同じワインのヴィンテージ違いの飲み比べである。今回はその時の話を思い出して記事を書いてみようと思う。

そもそもヴィンテージ違いの飲み比べがワインでできるの?

ウイスキーなどは12年ものと18年ものを飲み比べ!なんてこともするだろうが、ワインにおいてはあまり聞かない。

 

 お気に入りのワインをワインセラーに入れたままにしておき、熟成させてから楽しもうと思っても、誘惑に負けてあっさり飲んでしまうなんてことも私の場合はあるが、実際今の段階で昔のヴィンテージのワインを買おうとすると、著名なワインしか置いて無かったりする(これがまた高価なものが多いこと)。

熟成に耐えられるワインという観点からだと、高価であることも仕方ないのかも知れないが、やはり自分だけでそのような楽しみ方をしようとすると、難しかったりする。

また、大量生産のワインは、味の均一化が特に求められるので、異なるヴィンテージだったとしても、均一に作るテクニックや環境が整っている。ヴィンテージ論議が減ってきたのは、このようなワインが増えたことも一因だろう。

そうはいっても同じワイン。味は一緒じゃないの?

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 さて、本当にヴィンテージによる差はあるのか?ということで、まず「ヴィンテージが異なることで何が違うのか?」ということを考えてみたい。

主な条件の差としては、天候等によるブドウの出来熟成度、それに品種のブレンドの配分が挙げられる。品種に関しては、ヴィンテージによって配分を変えるということはよくある話だが、そのバランスが大きく崩れることはまず無いといってよいだろう。

これらが異なることで、明確に味が変わるのか。私の体験をお伝えしたいと思う。

私が飲み比べをしたのは、サッシカイア

 元祖スーパータスカンとして有名なこのワイン。ボルドーワイン好きなイタリア人が、なんとあの有名なシャトー・ラフィットのカベルネ・ソーヴィニヨンの苗をもらってきてイタリアに植えちゃいました!というところからこのワインの物語は始まる。

美味しいから作ってみようなんて、居酒屋さんのメニュー美味しかったからやってみよう的なノリから、今や世界中で有名なワインになるとは、夢にも思わなかったんじゃなかろうか。

そんなサッシカイアの話をもっと知りたいぞって人は、正規輸入元のエノテカが詳しく教えてくれている。

www.enoteca.co.jp

 

私がサッシカイアを飲み比べしたのは、22歳、大学4年の頃だった。当時の私は酒関連の会社に行くことが決まり、勉強も兼ねてバーへ赴いた。

そこで出されたのは、確か2010年と2009年のサッシカイアだった。一年違うだけだが、果たして・・・・・・?

まず、2010年の方のグラスに手を伸ばす。すると、なんとも心地の良い香り。よく、ワインの香りは「赤系果実」「黒系果実」「バナナ」「桃」・・・・・・など、果物に例えられることも多いが、このワインは私にとって「フルーツバスケット」だった。恐らく1000種類くらいはワインを飲んだことのある私だが、こんなに心が躍る香りのワインは無かったかもしれない。このワインを飲んで私はイタリアワインが一番スキになった。味も重めではあるが、香りも手伝って全体的に非常に華やかな味わいだった。

次に2009年の方を手に取る。少なくともワインの色にはあまり差が見られない。しかしながら、とにかく香りが違う。これはかなりカベルネ・ソーヴィニヨンならではの「黒系果実」の香りが強い。土っ気みたいなものも若干感じた。味はボルドーと似た感覚で、純粋に濃くて美味しいカベルネのワイン。

こんなに変わるのか・・・・・・言わずもがな私は2010年の方に惚れてしまった。華やかという一言では表しきれないイタリアらしさ。美味しいという一言では表しきれない感動。

ただ、今2010年のサッシカイアを買ったとして、同じ味わいがするのかというと、それもまた異なるだろう。というか、先日買って飲んでみたのだ。ちゃんとしたグラスで、合わせる料理も考えて。

いざ飲んでみたところ、あの時のようなときめきは感じられなかった。期待値が高すぎたのかもしれないし、あの時と今とは数年も違う。条件が違いすぎるといったらそれまでなのかもしれないが、私は少しだけ寂しくなった。

私にはやり直したい過去は今のところないので、もしタイムマシンが使えるとしたら、私はあの時のワインを飲むかもしれない。

詰まるところ、ヴィンテージは毎度気にするものでもない?

さて、ヴィンテージを連呼してきた私だが、詰まるところヴィンテージはそんなに気にするものでもないかなあ、なんて個人的には思う。

私は、ヴィンテージによって味が異なるという体験を実際にしているので、そのような差は確かに生まれると思っているのだが、実際は、ネットショップなどでは、同じワインは違うヴィンテージでも同じ売り文句がくっついていることなんてザラだ。

 それに、同じヴィンテージのワインを飲んだはずなのに、違うもののように感じることもなくもないのだ。そう思うと、やらなくてもいいかもしれないが、やってみても面白いかもしれない。

licocha.hatenablog.com

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