右手にはワインを、左手にはビールを。

食の世界に魅せられて。美味しい料理やお酒が好きなアラサーです。 「食のエンターテイメント」を、皆さんと共有出来たら良いなと思います。

ビー玉じゃないよ、窒素ボウルだよ。

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唐突ですが、私はサイダーが好きだ。もっと言うと、ラムネのようなビー玉入りの容器で楽しむサイダーが大好きだ。

夏祭りで浴衣を着て、ラムネをしゅわしゅわ……。なんて甘酸っぱい思い出は残念ながらないのだが、ラムネ瓶の中に入っているビー玉を何とかして取り出そうと、ひたすら試行錯誤した経験は、誰しも一度はあるのではないだろうか。

魅力的な「玉」の話

ラムネ瓶に入っているあのビー玉、実は「コッドネック瓶」と呼ばれる特殊な瓶の構造によって支えられている。19世紀のイギリスで生まれたこのデザインは、炭酸の圧力でビー玉が密閉される仕組み。ビー玉を押し込むことで栓が開き、しゅわっと炭酸が楽しめるというアイデアから、当時は画期的な飲み物として広まってきた。

ラムネを楽しんだ子供時代の記憶は、大人になっても鮮やかに残っている。そして、あの取れそうで取れないビー玉があるからこそ、ラムネを飲む楽しさが増すのだ……。思わず手を伸ばして、なんとか取り出そうとする試みもまた、ラムネを楽しむ醍醐味のひとつだったのかもしれない。

 

ああ、取れそうで取れないものって、どうしてこんなに魅力的なのかしらんと思いつつ、今ラムネをインターネットで調べて初めてビー玉が簡単に取れるものだと知る。

なんて日だ。

とはいえ、今から紹介するものは恐らく容器を切らなければ取れない!別に玉を取ってほしいわけではないが、とある因縁のビールを紹介したいと思う。

マーフィーズ  アイリッシュスタウト

玉のあるビールといえばアイルランドの「マーフィーズ アイリッシュスタウト」というのが有名なのだが、こちらはラムネのビー玉とは違い、こちらは「窒素ガス」を発生させる仕掛けが特徴だ。

窒素ガスで生まれるクリーミーな泡

マーフィーズには、缶の中に小さな「ウィジェット」と呼ばれる玉が入っている。これにより、缶を開けると中から窒素ガスが放出され、非常に細かく滑らかな泡が生まれる仕組み。窒素ガスによる泡は炭酸ガスよりもクリーミーで、舌触りの良い滑らかな飲み心地を楽しむことができるのだ。

この技術が初めて導入されたのは1960年代。アイルランドのスタウトビールメーカーであるギネスが、よりクリーミーで滑らかな泡を提供するために開発したそうだ。現在では、マーフィーズなどのアイリッシュスタウトでも同様の技術が使われている。

ビールに隠されたちょっとしたクセ

マーフィーズはスタウトビールなのにまろやかで上品な味わいが特徴。細かな泡がビール全体を優しく包み込み、苦味が少なく飲みやすいスタイルに仕上がっている。ただし、独特の「ナッツのような香り」「納豆を思わせる香り」がすることがあり、これを気にする人もいるかもない……がしかし、先に知っておけば大丈夫!

いざ缶を開けてみると、香りもさほど気にならないもの。

「かー、おいしっ!」と思うことでしょう。

最後にちょっとだけ

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実は、私がこのビールを「因縁のビール」と呼ぶのには理由があったのだ。それは、このビールを浴びてしまったことがあるから……。

あくまで故意ではなく、何かの拍子にビールが吹き出して、私自身がビールまみれになってしまったのだ。あの時、先ほど説明した「納豆のような香り」が私から漂ったというわけで…。

その一日、ちょっとだけ納豆の気持ちを味わった私だが、今となっては笑い話。そして、ビールに秘められた窒素ガスの仕掛けとその独特の風味を知った今、再びこのビールを楽しむことができるようになったのだ。