ここ数日、夏日が続く東京。営業へ向かう途中、すっかり桜は葉桜になったなあなんて思いながらコートを脱いで歩く私。夜には虫の鳴き声も聞こえてきたりして、つい先日入学式があったとは思えないほどだ。
そんな日が続くもんだから、ついつい白ワインなんか飲みたくなっちゃったりして。
わかる、わかるよ君の気持ち。(だって私今飲んでるもん)
とはいえ歓迎会も多い時期だ、お財布事情も考えなければならない。ここは自分の経験を活かして皆の懐にやさしいデイリーワインなんかを紹介したいところだ。
実は以前お酒のバイヤーをしていたこともある私。
あの頃はワインを沢山飲んだものだ。有名な生産者のワインを飲むのも勿論勉強になったが、私があの仕事をしていて好きだったのは、むしろデイリーワインを選ぶことだった。
色々なワインを試す中で、たまに1000円台でも驚くほど美味しいものに当たる。何をしたらこんなに安くて美味しくなるのだろう?なんて一人で感動しながら、これをお客さんに勧めたら喜んでくれるかしら?という想像をしたりして。
あまりに好きなものは、1箱まとめて自分用に買ったこともあった。無名でも、コンクールやワイン評価の雑誌で高得点を取ったことがなくても、とっても美味しいやつを探し当てるのが好きだった。
まあそんな中で、取引先の人を、顔や名前ではなく好きなワインと結びつけて覚えるという失礼な人間だったこともここでちゃっかり懺悔しておきたい。
そんな私は今回、「週末に彼や彼女と良さげなデイリーワインを一緒に選んで飲んでみたら、やばいめっちゃ美味しいじゃん!と二人して笑い合う」というシーンを空想しながらこの記事を書いた。アラサーお得意の妄想である。
ベルギービールのランキングを作った時と同様、私は無名とか有名とか今のところ生産予定はないとか考えずに勧める。そう、あくまで私の個人的お勧めなのだから、2位に勧めたのが限定品とか関係ナイナイ、なんでもありだ。
とはいえ品種が被ってしまっても面白くないので、すべて異なる品種でお勧めすることにする。
- ①タリケ「ソーヴィニヨンブラン」 (フランス ガスコーニュ)
- ②ヒューゲル「ゲヴェルツトラミネール」 (フランス アルザス)
- ③カーヴ ド サン ヴェルニ「シャルドネ ピュイ ド ドーム」(フランス オーヴェルニュ)
- ④ポッジョ レ ヴォルピ「ファランギーナ」(イタリア カンパーニャ)
- 最終的にね
①タリケ「ソーヴィニヨンブラン」 (フランス ガスコーニュ)
緑のしましまが何とも可愛いこのワイン。
昔このワインを売るときには、○○のビジネスクラスで採用!のようなビミョーな売り文句で販売したことを覚えている。
でも今ではこのワインもちょこちょこ見かけるようになった。特に、ワインに力を入れているようなスーパーなんかでこれを見るとつい嬉しくなってしまう。
ソーヴィニヨンブランらしい草の爽やかな香りもさせつつ、味わいは本当に完成度の高い、THE・フランスソーヴィニヨンブラン。このワインはガスコーニュ地方で作られているが、そもそもガスコーニュってどこって人のために、仕方がないのでWikiリンクでも貼っておく。
フランス国内ではミシュランレストランからビストロまで3000軒以上でおろされているというタリケ氏のワイン。
とりあえず、ソーヴィニヨンブラン好きはこれ飲んだら「やべえコスパ高すぎだろ」となって、他のワインに行けなくなるかもしれない。
②ヒューゲル「ゲヴェルツトラミネール」 (フランス アルザス)
ゲヴェルツトラミネールといえば、ライチやお花・香水の香りなんてよく言われる品種である。そんな非常にかぐわしい香りなので女性受けが非常に良い。
お花好きでロマンチストな彼女の笑顔が見たいなら、ノッポなシルエットのこのワインを選べばよい。彼女を喜ばせるつもりで、いつの間にか自分もうっとりしてしまうこと間違いなしだ。
この品種を見かけるのは、ほとんどアルザス。そんな中でも信頼がおけるヒューゲルのワイン。ちなみにこんな動画もワイナリーで作っているようだ。
ちなみに、これだけハーフサイズ。(コスパはどうした!)
というのも、ハーフサイズのワインというのはそれだけで選択肢が限られる。そんな中で選ぶとしたら、実はこういうロマンチックでスパイシーで特徴的なワインが良いんじゃないかしらということで選出している。
やっぱりずるいかしら(笑)
③カーヴ ド サン ヴェルニ「シャルドネ ピュイ ド ドーム」(フランス オーヴェルニュ)
これまたオーヴェルニュってどこなのよなんて声も聞こえてくるが、とりあえずミネラルウォーター産地で有名ということを覚えておこう。生産量も決して多くないこの地域のこのワイン、一体いかほどのものよ?なんて思う人も多いかもしれないが、この味、まさにプティ ピュリニー!なんて文言を入れると、たちまち気になる人もいるのではなかろうか。
ブルゴーニュが年々価格上昇していく中で、このワインは未だ1000円台半ばで調達が可能である。最初口に含むと、んんん?なんか物足りない……と思うかもしれないが、安心してほしい。飲み進めるうちに、この奥ゆかしさが好きになってしまう。コスパの面でいうと申し分ないワインといえるだろう。
④ポッジョ レ ヴォルピ「ファランギーナ」(イタリア カンパーニャ)
イタリアの旨安代表格として地位を築いた、同ワイナリーによる赤ワインのプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア。数年前からぶっ続けで好評価であり、店によっては不動の1位商品である。
プリミティーヴォを飲んだ人は、さぞかしこのファランギーナを気にしていたことだろう。安心してほしい、こちらも美味しいぞ。イタリアワインらしく陽気な雰囲気。赤が絶妙な重みだったのと比較すると、若干こちらは軽めながらもやはり調和がとれている。このワイナリーはコスパワインをつくるのが本当に上手だ。庶民に優しいね。
最終的にね
私も飲みたくなってきたわけですよ、ええ。でもこのワインは、平日の仕事終わりにグイッといくより、ゆったり楽しんだほうが絶対美味しいなあと思ってもらえるはずだ。暖かくなった週末の昼下がりにでも、ぜひ試してみてほしい。