クリスマスも目前、猫も走るほど忙しいこの頃、私はとあるものと格闘していた。
ことの発端はお歳暮に送られてきた代物。送り主は、某有名キャラクターやヒット商品のデザインを数々手掛けている、人気デザイナーさんだ。
その人は非常に面白い方で、快適な仕事環境を整えるために、椅子を買うのではなく掘りごたつを自宅に誂えてみたり、人類進化ベッドという、チンパンジーのベッドづくりを参考にして作られた、限定100台もない究極のベッドを買ってみたり(ちなみに360度どの角度からでも眠れる楕円形のベッドでとてもふわふわ)、トイレに座ったらいきなりクラシックが流れてきたり、家の屋根に星が観測できる広場を作ったりとにかく自分の夢を詰めた家を持っている人なのだが、そんな人のお家にはブドウやサクランボやイチゴなど、色々な果物が生っているのである。
少し話がそれてしまったが、とにかく非常に尊敬しているその人から送られてきたダンボールをワクワクしながら開けた。
するとそこには箱一杯の「 柿 」があった。
そうだそうだ、お家にお邪魔した時、大きな柿の木があったなあなんて思いながら、普段柿を買わない私は、特に深く考えることもなくそれを剥いた。
おお~~、じゅくじゅくしている。これが食べ頃ってやつかい?
そんなことを思いながら頬張ると、口の中がいきなりパサッパサになった。それはもうパッサパサで、なんなら口の中が固まってきた。
動かない。
動かない。
口が動かない。
「!??」
そう、なんとそれは
渋柿
だったのである。
食べたことなかったよ、渋柿って……ホントに渋いんだね……!!!
急いで水を口に含んだ私。
逆効果だった。
さらに口が開かなくなる私。
後で知ったが、渋柿には可溶性タンニンが含まれているので水ではなくアルコールや牛乳などを含めばよかったらしい。
柿が入っていた段ボールをよく見るとそこにはレシピが入っていた。そしてよくよく中に入っていた手紙を読み返すと、
「渋柿です」
の文字。
これは手紙を読まなかった私が悪い。悪いのだ。
レシピを開くと【 干し柿 】の文字が……。
これはもやしっこの私への挑戦状なのだろうか……?
いや、干し柿を作ってみるという体験をすることによって私に何か伝えようとしてるのではないだろうか……?
ということで、干し柿含め、渋柿の美味しい食べ方を研究するため、私は年末奮闘していくことになるのである。
~つづく~