10月、秋本番。私の好きな季節が来た。
出歩くにはちょうど良いこの季節、散歩もスポーツも良いが、やはり私は食の秋なのである。秋の旬は美味しいものだらけ。
毎月1回はフランス料理の食事会をするという新たな習慣を始めた私が旬を満喫するべく最初に選んだ店は東京都国立市にある店ル・シエル。
席数はさほど多くなく、すぐに1ヶ月先までは予約で埋まってしまう店なのだが、話題のシェフがいるとのことで前からチェックしていた……そんな店で、ついに今回食事する機会が出来たのだ。
ということで、今回はこの店の食事についてレポートしていこうと思う。
シェフ・ソムリエともに実力派!ル・シエル
ル・シエルは東京の都心部から少し外れた国立市にあるレストランで、JR中央線国立駅から徒歩10分程度の場所にある。
シェフは日本、フランス各地の星付きレストランで研鑚を積み、名店オテル・ド・ヨシノでは副料理長経験、また2015年にはパテ・アン・クルートというパイ生地を敷き詰めたパテ料理のコンクールにて日本代表も務めたという。また、フランスで行われた世界大会では特別賞を獲得している。
ということで、料理にも非常に期待がもてるのだが、フランス料理と言えばペアリングも楽しみの一つ。銀座や広尾などの名店でシェフソムリエを務めたオーナーが選ぶワインにも注目である。
ちなみに今回はランチコースを頼んだ。
旬尽くしなランチコース
アミューズ
まずは突き出しのアミューズ。
出てきたのはサツマイモのチュロスと、胡椒をまぶしてリンゴとシナモンの風味を付けたフォアグラのパテ。
チュロスからはふわりとサツマイモと焼き菓子の甘い香りが漂ってくる。
早速手で摘まんでぱくりと口に運ぶと、香りとは裏腹に控えめな甘さが広がる。
外はサクッ、中はふわっとした歯ごたえ。かなり軽く、食欲が湧いてくるのが実感できる。
あっという間に食べ終わってしまい、フォアグラの方へ。
ファーストアタックは、周りにまぶされている胡椒のぴりっとしたスパイシーな風味。次にシナモンの香りが口に広がり、フォアグラパテの濃厚な味わい。後味にリンゴの甘さが残る。
パテなのだからもっと重くなりそうなものだが、胡椒やシナモン、リンゴと合わせる事によりこれほどまでに次を求めたくなる味わいに変わるとは・・・・・・最初から侮れない。
これは、ワインが飲みたくなる。
オードブル
お次は前菜。
ブドウに見えるかも知れないが、実は一粒だけブドウではない。
他の粒はさっぱりとしたブドウのマリネ、左奥はブドウジュースと赤ワインを混ぜたゼリーをまとわせたパテ。上にメレンゲが載せられ、下には砕かれたクッキー生地が敷き詰められている。
コクのあるパテと控えめな甘さのゼリー。酸味が爽やかなブドウのマリネを頬張ればそれはもう幸せの一言なのである。
ポワソン
そして待望の魚料理。
クリーミーでほどよい塩味のソースにパリッとした皮がクセになるスズキ、そしてソースを吸ったカブがこれまたたまらない。
ソースのきめ細やかな泡は口の中でも気持ちよく、パンにソースを吸わせればそれもまた一興。
ちなみにパンはジャガイモのパンで、甘みたっぷりのもちもち食感。そのままで食べるのでも十分に美味しい。
ここでのペアリングはアルザスの白。
グラスは私の好きなロブマイヤーのバレリーナ。
コクのあるソースを邪魔せずすっきりと仕上げるのはさすがのペアリングである。
アントレ
肉料理は鴨のステーキ。また、地域野菜のインゲン、ぎんなん、ゴボウが焼き野菜として添えられていた。
ステーキといえど、大ぶりに一切れのみか……?と思ったが、このボリューム感、侮れないものであった。
ぱっと見ると少なく感じるかもしれないが、これをさらにナイフとフォークで切るとおよそ4~5口分ほどであろうか。コクのあるソースに鴨の脂が心地よい。
さらに焼き野菜が程よく脂を中和し、満足感を与えてくれる。
これは美味い。食べ終わるころにはお腹も満たされていた。
ちなみにこの時のワインはブルゴーニュのヴォルネイ、ほどよい重さの赤ワインである。ワインセラーを覗くとかなりブルゴーニュのワインが多いようだ。
ちなみに、ペアリングコースではなくとも、グラスだけで頼んだ場合には同様にソムリエが料理に合った、しっかりとしたクオリティのワインを選んでくれるので、非常に好感が持てる。
デザート
さあ、そろそろコース料理も終わりに近づいてきた。
デザートが運ばれてくる。コーヒーのパウダーがかかったクリームの中にはバナナとアイス、スポンジが隠されていたのだが、掬うまでのワクワク感は計り知れない。
すっとスプーンですくって口に運ぶと、ヒヤッとした感触のクリームと共にコーヒーとバナナの風味。
すでに満たされたと思っていた腹具合も、すんなり受け入れる態勢に入り、おかげで美味さを存分に堪能できる私の身体。
素晴らしいデザートであった。
カフェ・ブティフール
最後は、温かいコーヒーと共に、レモンピールがのったふわっふわのギモーヴと、コクのある甘さが美味しい生チョコレートをいただいた。
ひんやり冷やされた生チョコレートを頬張り、存分に味わった後、コーヒーをこくん。これが至福と言わずになんと表すというのだろう……。
これだけでも幸せな気持ちで満たされるのだが、ギモーヴを一つまみして、手で少しだけその弾力を楽しみつつ、こちらも一口でぱくん。
嫌みのない甘さと、爽やかなレモンの風味。
普段私はマシュマロの甘味が苦手なのだが、このギモーヴは本当に美味しかった。
最後を締めくくるにぴったりの食感であり、味わいであった。
再訪確実の至福感
ということで、今回は気になっていた店での食事だったわけだが、期待を良い意味で裏切ってくれる最高の美味さであった。
あえて一つ言うなれば、通りのビル内の店ということもあり、景観の面では最高とは言えないかもしれないが、そんなことは気にならない美味さ……というか、いわゆる家賃分を素材の費用であったりとか、ドリンクであったりとか、そういった部分に充てているのではないか。なんて、変に推測してしまったが。。。
食事後は、シェフ、ソムリエ共に挨拶や会話をしてくれる、そんな店である。こんなに満足度の高い店に、また通わずにいられようか。
とはいえ、このお店、さぞ高いのでは?なんてお思いの方もいるかもしれないが、コース料理やクオリティの極めて高いワイン3杯を合わせて合計1万もかからずに楽しむことが出来て、総合的なコストパフォーマンスは非常に良いと個人的には感じている。
私はこの食の楽しさを感じるために日々頑張って働いているのだから……。
太鼓判を押して勧められる店の一つなので、気になった方はぜひ食事を楽しんでみてほしい。