恵比寿駅から徒歩7分、恵比寿ガーデンプレイス近くにある隠れ家フレンチ、「レストラン ヒロミチ」。南フランスでの三ツ星レストランの修業経験を持つシェフ小玉弘道氏が腕を振るい、伝統的なフレンチに日本のエッセンスを取り入れた独創的な料理を楽しむことが出来る場所だ。
先日こちらのレストランにお邪魔したので、今回はこちらのレストランについて紹介していきたい。
ヒロミチの店舗情報
フレンチレストラン「ヒロミチ」は、恵比寿駅東口から徒歩7分程度の場所にある。入口に飾られているフランス国旗が目立っていたので、ここに初めて来るときは、これを目印に来ると良いかもしれない。
住所:〒153-0062 東京都目黒区三田1-12-24 MT3ビル 1F
TEL: 03-5768-0722
- ランチ: 11:30 - 13:00 (L.O.) / 15:00 (閉店)
- ディナー: 18:00 - 20:00 (L.O.) / 23:00 (閉店)
- 定休日: 月曜日
また、恵比寿ガーデンプレイスのそばにあるので、食事の後はショッピングなども出来るのも嬉しいポイントだ。
シェフ 小玉弘道氏の経歴と料理哲学
シェフの小玉弘道は、フランス料理界で長いキャリアを持つ実力派。かつて南フランスの三つ星レストラン「ジャルダン・デ・サンス」で修業を積み、帰国後は赤坂の名店「シュマン」でシェフを務めたという経歴の持ち主。
そして2009年にご自身の名である「ヒロミチ」をオープンし、わずか数年でミシュラン一つ星を獲得。古典的なフレンチ技法に加え日本ならではの調理法や旬の素材を巧みに取り入れ、特に山形の食材を多く用いて軽やかさの中にもしっかりとした主張のある一皿を提供している。
「レストラン ヒロミチ」の食体験レポート
ということで、早速食レポの始まりだ。
まずアミューズは、くるみとフルムダンベールのグジェール。
フルムダンベールといえばフランス中央部のオーヴェルニュ地方を代表する青カビチーズ。実はこのチーズにはローマ人がこの地域で羊を飼いながら作っていたのが始まりだと言われるほど長い歴史がある。
青カビチーズはクセが強いというイメージを持たれがちだが、このチーズは意外とマイルドでクリーミーな口当たりが特徴で、その味わいに「高貴なブルーチーズ」との呼び名も。湿潤なオーヴェルニュ地方でチーズを作ることにより、熟成中にしっかりと湿度が保たれ、青カビがゆっくりとチーズに浸透して角の取れた風味が生まれるのだそうだ。
このチーズを混ぜ込んだシュー生地を一口でパクっと食べると、確かに露骨に青カビチーズの風味を感じさせることなく「お?」と興味だけ引いてくるような絶妙な風味。
それはまるで小さい子にちょっと袖を掴まれたような、、、。心を掴むのが上手。
続いては紫芋のふんわりムースと生ウニ 山形県産舟形マッシュルームのコンソメジュレ。
舟形マッシュルームは、雪解け水で育っているため旨味や甘味が特徴的なのだそうだが、程よく冷えたこのコンソメジュレにも旨味をしっかりと感じた。
雪が降る地域で育つ作物はなぜこんなに美味しいのか……。ちなみに雪解け水には樹木や草花からの蜜が溶け込んだ結果、微量の糖質が含まれているらしく、それがこの風味にも影響しているのかもしれない。
紫芋のムースが土台を支え、コンソメジュレの上品な風味を存分に堪能しながら、生のウニを舌にのせると、途端にとろけて、旨味が最高潮となって押し寄せてくる。
ふぉぉぉ、、うめえ。
そうして魚料理が登場。アワビと真鯛に粒マスタードとパセリのバターソースがかけられた一品だ。
奇をてらわずとも、当たり前にそこにある美味さ。まずはパリパリな真鯛の皮目を楽しみ、ふわっふわかつ、ぷりんっとした身が魚の新鮮さを感じさせる。
一般的なバターソースだと重くなりすぎてしまうが、粒マスタードとパセリが良いアクセントをきかせながら爽やかにまとめ、アワビや真鯛の甘味まで存分に楽しめるような仕上がりになっている。
からの……アワビの肝隠し。なんと肝が魚の後ろに隠れていて、最後にこの苦味とコクを楽しませつつソースの酸味が綺麗に絡み合い、素敵なサプライズだった。
続いて、天然海老とタスマニアサーモンのパータブリック包み。
一見すると春巻きなのだが、噛むと皮がぱりぱりっと軽快な音を立てて、生地が薄いことが分かる。また、揚げ春巻きだとその油感を楽しむところがあるが、この料理はほぼ油感がなく、あくまで具のエビやサーモンを存分に味わえるようになっている。
また、質感や風味の異なる甲殻類・バジル・ターメリックを混ぜたヨーグルトといった3種類ものソースが楽しむことができた上、さりげなく敷かれたリゾットもまた美味しい。色々な面白さのある一皿だった。
そしていつの間にかの肉料理。ブラックアンガス牛のザブトンのローストに季節の温野菜をマディラ酒のソースで味わう。
ザブトンとは、肩ロースの一部のこと。肩甲骨の周辺なので運動量が少なく、肉質も柔らかいのが特徴だが、このお肉は特に柔らかい……!肉の繊維の嫌な感じが全くなく、ただただ赤身と脂が調和したとろける食感を最高に楽しめる。
そしてマデイラソースは本当に美味しく、コクと甘味が最高。肉の美味しさを引き立て、旬の野菜の醸し出す甘味とも完全に調和している。肉料理までいくとかなりお腹一杯になってしまう私も、このお肉には驚かされた。
ちなみに私はマデイラソースが好きすぎて、家で手軽に似た味わいを作れないか探して、このベークドワインを重宝している。マデイラソースの甘味の深さまではいかなくとも、かなりいい感じの味わいが出るので、料理好きな人は是非試してほしいイチオシの品だったりする。
さて、コースも終盤に差し掛かってきた。
カカオ70%の「ヴァローナ・グアナラ」を使用したムース・オ・ショコラとピスタチオジェラートが登場。
ヴァローナ・グアナラというブラックチョコレートは、多くのパティシエから最高級のブラックチョコレートと評される、重厚と繊細さを兼ね備えた心地よい苦味のある味わいが人気の商品。
その評判に答えるように、ショコラのムースが程よい重さと上品な甘味で舌を幸せにしてくれる。ジェラートを食べると一度舌がクリーンになり、ムースをまた新鮮な気持ちで食べさせてくれるという素晴らしい技を感じる。
せっかくなので食後酒も。
実はワインペアリングを今回の食事で頼んでいたのだが、ワインの写真を撮影し忘れてしまったので、食後酒からの紹介となってしまうが、これが今まで飲んだどの食後酒よりも美味しかったので、ぜひ見ていただきたいと思う。
それがこちら、フェルム・ド・ラモットのポモー・ド・ノルマンディだ。
フランスのノルマンディ地方で生産される伝統的なお酒で、リンゴを原料とした甘口の酒精強化ワイン。リンゴ原料のカルヴァドスに、さらにリンゴジュースを加えて発酵を抑えながら作られる。
酒精強化といえど、アルコール度数は17%と強すぎるわけではなく、りんごの甘味と風味が濃厚な美味しさが際立っている。オーク樽で数年熟成していることによって、ナッツのような熟成感も加わり非常に美味しい。
リンゴの完璧なお酒ってこれじゃない?
と思うほどあまりにも美味しかったので、この後探して買ってしまったほどである。
そしてコースの最後は食後の飲み物と小菓子ということで、ギモーブとブランマンジェが提供された。
やだ、なんてかわいいの……。思わずきゅんとなるお皿。
ギモーブはふわふわんとして、口の中で甘くとろけていく。
そして、キウイのソースがかかったブランマンジェ。程よいアーモンドの風味と、甘酸っぱいキウイの風味がよく合っている。
それをホットコーヒーと合わせ、ほっと一息。
ふぅ、、、。
全体としてとても美しくまとまったコースだと感じる。他で見ないという意味だと、やはり海老とサーモンのパータブリックが素敵だったなぁ。
ちなみにこちらのコースは「”スペシャリテ”ヒロミチ定番のお任せコース」で、価格は19,580円。ワインペアリングと食後酒は大体13,000円程度だった。
お取り寄せと地域貢献
ちなみに、後で調べて分かったのだが、ヒロミチでは、食事以外の部分でも様々な活動に力を入れているとのこと。地域とのつながりを大切にしながら、フレンチの魅力を広げようとする精神が素敵である。
- ふるさと納税返礼品: 山形県や目黒区などへのフレンチおせちやペア食事券の提供
- 料理教室開催: 池袋コミュニティカレッジでのフレンチ料理教室
- ギフト開発: リンベル株式会社とのコラボによるギフト商品の展開
まとめ
ということで、ミシュラン一つ星の名に恥じず、綺麗にまとめられていたコース料理(そしてめちゃくちゃ美味しいポモー・ド・ノルマンディ!)にも舌鼓を打った私だが、地域貢献にも力を入れているという姿勢も素晴らしいと感じた「ヒロミチ」さん。
恵比寿という土地柄、デートにもピッタリのレストランなので、特別な日や大切な人との時間を過ごすのにもオススメの場所だ。気になった方は是非行ってみてほしい。
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