普段はワイン党で、焼酎はお付き合い程度にしか飲まない私。そんな自分が、鹿児島県の郷土料理が食べられる居酒屋に飲みに行った際、「黒千代香(黒じょか)」という焼酎用の器で「白玉の露」を飲んでみることに。
初めて見る黒じょかという酒器に興味津々だったが、これで焼酎をいただいてみると、本当に美味しくて驚いた。むしろ、ワイン好きだからこそ楽しめるポイントがたくさんあったほど。
ということで、今回はそんな 「ワイン党の私が黒じょかにハマった話」 について書いていきたい。
- 黒じょかって何? ワインでいうデキャンタみたいなもの?
- 白玉の露 ― 魔王の蔵元が手がける、常圧蒸留のスタンダード
- 黒じょかで「白玉の露」を飲んでみた ― 香りの変化と味わいの奥行き
- まとめ ― 黒じょかが欲しくなる
黒じょかって何? ワインでいうデキャンタみたいなもの?
ワイン好きの私にとって「黒じょか」という言葉はまったくの未知。でも調べてみると、これがなかなか面白い道具だった。
黒じょかとは、鹿児島の伝統的な焼酎用の酒器。
「千代香(ちょか)」という名には、「千代に香る」=香りが豊かに広がる という意味が込められている。
土瓶のような形をしていて、直接火にかけられるのが特徴。中に焼酎とお湯を入れて温めることで、アルコールの角が取れてまろやかになるらしい。
ワインでいう 「デキャンタ」 に少し似ているかもしれない。
ワインも空気に触れさせると香りや味わいが変わるけど、焼酎も黒じょかを使うことで より優しい口当たりになる というわけだ。
もともと黒じょかは、薩摩藩の時代に武士たちが野外で焼酎を温めるために使用していたと言われており、歴史的な背景も深いらしい。単なる酒器ではなく、焼酎をより美味しく楽しむための文化的なアイテムなのだ。
「なるほど、これは面白そう!」と思いながら、さっそく黒じょかで焼酎を試してみることに。
白玉の露 ― 魔王の蔵元が手がける、常圧蒸留のスタンダード
「白玉の露」は、鹿児島県・白玉醸造が造る芋焼酎である。白玉醸造といえば、プレミアム焼酎「魔王」の生産者としても知られる蔵元だが、この「白玉の露」は同蔵のスタンダードな銘柄として長年親しまれてきた。
その特徴の一つが、常圧蒸留で造られていることだ。魔王が減圧蒸留により軽快で華やかな味わいに仕上げられているのに対し、「白玉の露」は常圧蒸留ならではのコクと芋の香りをしっかりと残している。
ちなみに酒名の由来は、歌人・若山牧水の歌集「路上」に収められた以下の和歌から取られているとのこと。
「白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに 飲むべかりけり」
これは、ひんやりとした秋の夜に、しみじみと酒を味わう情景を詠んだもの。実際に飲んでみると、その名の通り、ゆっくりと静かに楽しみたくなる味わいが感じられる。
ちなみに裏のラベルによると酒造のオススメは、室温・45~50度のお湯割りが特におすすめの飲み方とのこと。
黒じょかで「白玉の露」を飲んでみた ― 香りの変化と味わいの奥行き
実際に黒じょかを使い、温められた「白玉の露」をいただいてみた。
結論から言うと、香りと口当たりが格段に良い。ワインにおいても温度管理が味わいに与える影響は大きいが、焼酎においても同様。もちろんこの酒器を使わなくても、温めると香りや口当たりは良くなるが、黒じょかを使うことによって、普段焼酎をすすんで飲まない私がスイスイといけてしまうほど。
まず、瓶から注ぎたての「白玉の露」は、ややアルコールの立った香りと、芋焼酎らしいふくよかな甘みを感じさせる。しかし、黒じょかでじっくり温めると、香りの印象が変化し、より滑らかで奥行きのある香りへと移り変わり、ワインほどではないが香りが明らかに開いていくのだ。
口に含むと、アルコールの刺激が和らぎ、芋の甘みが際立つ。特に「白玉の露」は常圧蒸留によるしっかりとしたコクがあるので、黒じょかで温めることで味の一体感が増し、より深みのある味わいになっている。
「白玉の露」は、魔王とは異なる魅力を持つ焼酎だが、黒じょかで飲むことで、その持ち味がより引き出されていた。
正直プレミア価格の魔王を探して飲むより、正直私はこの白玉の露でも十分美味しく感じる……(笑)
コスパ良くて、満足度も高いなんて、最高じゃないか。。。
そして改めて、ワイン好きの視点から見ても、温度や器による香りの変化を楽しめる点で、焼酎と黒じょかの組み合わせは非常に興味深いものだった。
ちなみにこちらの鹿児島の郷土料理が楽しめる居酒屋は高田馬場にある。
おつまみも非常に美味しく、とくにきびなごが最高。店主の方も優しく、料理も全て美味しい。そして焼酎の種類も豊富なので、焼酎好きの方や美味しい料理が食べたいという方は是非行ってみてほしい。
まとめ ― 黒じょかが欲しくなる
今回、ワイン党の私が初めて黒じょかで焼酎を試してみたが、思いのほか奥深い体験だった。特に「白玉の露」は、常圧蒸留ならではのコクと甘みがあり、黒じょかで温めることで香りが開き、よりまろやかな味わいへと変化する。
ワインと同様に、焼酎も温度や器によって味わいが変わるという点が非常に興味深く、黒じょかは単なる酒器ではなく、焼酎の魅力を最大限に引き出すツールであると実感。
これまで焼酎にあまり馴染みがなかったが、黒じょかを使うことで、その世界をより深く楽しめる可能性を感じた。ワイン好きの方も、ぜひ一度、黒じょかでの焼酎体験を試してみてほしい。
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