皆さんは、鶏料理は好きだろうか。鶏料理といえば唐揚げや鶏大根、焼き鳥など子供から大人にも人気のレシピばかりで、鶏料理専門店もちらほらと見かけるが、鶏丸ごとを余すことなく食べられる素敵な店を、皆さんはご存じだろうか。
東京・神田に店を構える「飛鳥くら田」は、名店「長谷川稔」グループが手がける新たな挑戦として誕生した地鶏専門のフルコース店。単なる焼鳥屋ではなく、こだわり抜かれた地鶏を最高の状態で楽しめる、まさに"究極の鶏料理"を提供する一軒だ。
「飛鳥くら田」の魅力は、単なる焼鳥の枠を超えた独自のアプローチにある。コースで提供される地鶏は、宮崎県西都市の自社養鶏場で飼育された「みやざき地頭鶏」「比内地鶏」「名古屋コーチン」といった銘柄鶏を使用。その日ごとに異なる品種・個体が選ばれ、ベストな熟成・火入れが施される。
さらに、長谷川稔氏が完全監修する特別な一品料理もコースに組み込まれ、唯一無二の地鶏フルコースとして完成されているのだ。
焼鳥好きや美食家にとって、「飛鳥くら田」はまさに新しい食体験を提供する場所。カウンター席で繰り広げられる職人の手仕事を間近に感じながら、珠玉の一串一皿を堪能できる贅沢な時間が待っている。
今回は、そんな飛鳥くら田に行ってきたので、レポートしていきたいと思う。
飛鳥くら田の店舗情報
JR神田駅の南口から徒歩1分、2階にある「飛鳥くら田」。東京の中心街からも来やすいこちらのお店は全席カウンターで8席あり、17時半~/20時半の2部制で営業している。予約時間とともに一斉にコースが開始するスタイルなので、遅刻や途中退店などがあった場合は、料理の一部が提供されないので注意が必要だ。
また、18歳以上のみ入店可能で、喫煙不可。じっくりと料理とお酒を楽しむことが出来るお店だ。
住所:東京都千代田区鍛冶町1-7-5 神田美須ビル2F
支払い方法:現金、クレジットカード(VISA、Master、JCB、AMEX、Diners)
予約方法:専用サイト(焼き鳥 飛鳥くら田のご予約 - OMAKASE)
予約時の注意点
- アレルギー対応・キャンセルポリシー:広範囲のアレルギーや苦手食材のため、コースの2品以上に影響が出る食材制限がある場合、予約不可になる場合やキャンセルの可能性あり。また、当日の申告は不可。
- 手数料:1席あたり390円
飛鳥くら田の特徴とこだわり
「飛鳥くら田」の最大の特徴は、こだわり抜かれた地鶏を一番美味しい状態で提供すること。ただの焼鳥屋ではなく、希少な部位を含む様々な部位を少量ずつ味わえる、贅沢な地鶏フルコースを楽しめるのが魅力だ。
使用する鶏は、宮崎県西都市の自社養鶏場で育てられた「みやざき地頭鶏」「比内地鶏」「名古屋コーチン」の3種。その日ごとに異なる品種・個体が選ばれ、最適な熟成や火入れが施される。この日は、メスの「みやざき地頭鶏」で、240日飼育のものが使用されているとのことだったが、訪れるたびに異なる地鶏の味を楽しめるのも、この店ならではの醍醐味だ。
さらに、コースには長谷川稔氏が監修した一品料理も含まれている。焼鳥だけでなく、から揚げ、ラーメン、カレーなど、〆の料理までこだわり抜かれているのが特徴で、まさに「ただの焼鳥屋ではない」ことを体現している。
一羽の鶏を丸ごと味わうような感覚で、最高の状態に仕上げられた地鶏料理を堪能できる「飛鳥くら田」。素材、調理法、提供のタイミングまで細部にこだわった、一切の妥協のないコースがここにはある。
また、飲料のリストも豊富。
アルコールとコース料理のペアリングももちろん楽しいのだが、お酒を飲めない方でも他で飲めないようなこだわりのクラフトコーラやジュース、お茶などが豊富にそろっているのも素晴らしい。
コース料理の詳細
「飛鳥くら田」のおまかせコースは、一羽の地鶏を順番に丸ごと味わえる、贅沢な構成になっている。価格は1人当たり22,000円(税込)と、別途サービス料10%。
希少部位を含む焼鳥の数々に加え、長谷川稔氏監修の一品料理や〆の料理まで計17品のコースと、追加2品をオーダー。さらに、それぞれの料理に合わせた日本酒やワインのペアリングも楽しめるのが魅力だ。
コースの流れ
まずはシャンパーニュで乾杯。寒空の中、コクのあるシャンパーニュが気持ちを高めてくれる。
そしてコース一品目として提供されたのはサムゲタン。鶏の旨みが凝縮された滋味深いスープは、じんわりと体に染み渡る優しい味わいだ。
そしてここから焼鳥が順々にやってくる。肩はしっかりとした肉質とジューシーな脂が楽しめる一品。敢えて一口サイズで、口の中でじっくりと素材の味を楽しめるのも素晴らしい。
また、テーブルには塩と山椒と七味の3種類の調味料が用意されていて、どれも鶏肉にピッタリ合う。
続いてきたももは肉の旨みが濃厚で、噛むほどに味が広がる。肉に弾力があってなんとも美味しい……。
そして目にも美しい銀杏が登場。焼鳥の合間にほくっとサクッと、この香ばしいアクセントが嬉しい。
せっかくの焼鳥なので、日本酒をオーダーすることに。辛口が好きだということを伝えると、船中八策 純米大辛口 しぼりたて生酒をお勧めしていただいた。
生酒なのでたっぷりとした旨味がありつつもしっかりとした辛口。焼鳥にもピッタリだ。
次に来たのはつくね。一口噛んでみると肉がほぐれていき、ふんわりとした食感の中に鶏の旨みが凝縮されているのが分かる。
うめぇぇ。
その後はから揚げ。肉厚ながら柔らかくジューシーで、シンプルながら奥深い味わい。
次のとりわさは、新鮮な鶏の胸肉を軽く炙っていて、繊細な旨みを堪能できる。肉質の良さが非常に分かりやすく、山葵の刺激も心地よい。
それと合わせるのは魔斬 純米吟醸本辛口 生原酒 生酛造り。先ほど同様、辛口ながらうまみのある味わい。きりっとしたのど越しが気持ちよく、魔斬の名前の印象ともピッタリだ。
次にやってきたのは、ソリレスという鶏もも肉の脚の付け根の辺りにある希少部位で、ジューシーでコクのある味わいが特徴。火入れの技術が光り、その特徴が存分に活かされているのがニクい。
そして砂肝。コリコリとした食感が楽しく、噛むほどに旨みが広がるのはもちろん、大きさも絶妙。砂肝はなぜこんなに美味いのか……。感動ものである。
おしり部分がやって来た。脂の甘みとジューシーな味わいが非常に絶品で、なんならこの串から色気さえ感じる。
そうして鶏の美味さに酔いしれたところで、いったん口直しのソルベがやってきた。ほどよくさっぱりとした味わいで、後半の料理に向けてリフレッシュを果たしてくれた。
さあ、その後はがっつりコクのあるロッシーニである。贅沢なフォアグラと肉の組み合わせが楽しめる逸品。
このロッシーニと合わせるのがグロス カベルネソーヴィニヨン。やはりフォアグラたちのどっしりとした旨味とコクを支えられるのはエレガントなフルボディの味わい。
このワインはカリフォルニアワイン初のパーカーポイント100点生産者が手掛ける、オークヴィル地区で収穫されたカベルネソーヴィニヨン主体の逸品。
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ロッシーニと共にじっくり楽しんだ後は、汁物がやってきた。
濃厚な料理からの汁物は、中にかぶが入っており、柚子の香りが心地よい。優しい味わいが心に沁みる。
再度口の中がすっきりした後は、むね。あっさりとしているかと思いきや、旨みもほどよくあり美味しい。そろそろコースの終盤だなと感じて少し寂しくなってくる。
ももの中でも特に柔らかく、濃厚な味わいのうちももは当たり前のように美味しい。もうちょっと食べたい、という心を掻き立てられるのが分かる。
ということで、この時点で追加の焼き物をオーダーすることも出来る。メニューはレバー、皮、ぼんじり、はらみ、せせり、せぎも。
私はレバーをオーダーさせてもらった。とろけるような食感と濃厚なコク。
これをトリエンヌ メルロというプロヴァンスの赤ワインを合わせる。ボリューミーな果実感は、コクのあるレバーの味わいとのペアリングが絶妙だ。
ちなみにこのトリエンヌは、ブルゴーニュを代表する作り手の巨匠ロマネ・コンティとデュジャック、2人のオーナー手を組んで南仏プロヴァンスで造ったワイナリー。
小売価格だと2,000円しないので、旨安な赤ワインが好きな人にはおすすめだ。
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そうして飯物、季節の土鍋ご飯が登場。旬の食材を活かした土鍋ご飯なので、季節によって内容が変わるそうで、今回はかにだった。かにの甘みとご飯の相性が抜群で、さらに嬉しいのはお持ち帰り用にも包んでくれるということ。
こんなおいしいご飯がお家でも食べられるなんて……。余韻を楽しめて最高じゃないか。
さて、その後は〆にカレーか鳥白湯ラーメン、もしくはその両方を注文することが出来る。私はカレーを頼んだ。
ややもすると、やや少量のカレーがやってきた。スパイスの香りと鶏の旨みが絶妙にマッチし、〆にふさわしい一品。
最後にやってきたのは甘味のイチゴとアイス。食後にぴったりな、爽やかなデザートをいただいた。
どんな人におすすめ?
「飛鳥くら田」は、単なる焼鳥店ではなく、究極の地鶏フルコースを堪能できる特別な一軒。そのため、以下のような人におすすめしたい。
1. 高級グルメを愛する美食家
こだわり抜かれた地鶏の焼鳥に加え、長谷川稔氏監修の一品料理、さらには土鍋ご飯やカレーまで楽しめる。「焼鳥」の枠を超えた、特別な食体験を求める美食家にはぜひ訪れてほしい。
2. 焼鳥・地鶏料理の愛好家
一羽の鶏を丸ごと味わうようなコース構成で、希少部位もふんだんに取り入れられている。単なる串焼きではなく、火入れや提供のタイミングまで計算された職人技を味わえるため、焼鳥好きにはたまらない内容。
3. 大人のデートや記念日利用を考えている人
店内は全席カウンターのシックな空間で、落ち着いた雰囲気。特別な日のディナーや、大切な人と過ごす記念日ディナーにふさわしい。大人の隠れ家的な雰囲気も魅力的で、ゆったりと食事を楽しめる。
4. 接待やビジネスシーンで利用したい人
8席のみのプライベート感のある店内は、接待にも最適。焼鳥というカジュアルなイメージを覆す、洗練されたコース料理とサービスが用意されており、食事を通して上質な時間を提供できる。
5. 日本酒やワインのペアリングを楽しみたい人
焼鳥に合わせた日本酒や、ロッシーニに合わせる赤ワインなど、料理とのペアリングが楽しめるのもこの店の魅力。食とお酒の相性を追求したい人には、ぜひ訪れてほしい。
まとめ
「飛鳥くら田」でのディナーは、焼鳥の枠を超えた、まさに“究極の地鶏フルコース”だった。
その日ごとに異なる地鶏を使用し、部位ごとに最適な調理法で提供される串焼きの数々。さらに、長谷川稔氏監修の特別な一品料理や〆の土鍋ご飯、カレーまで、すべての料理にこだわりが詰まっていた。
店内は全席カウンターのシックな空間で、大人のための落ち着いた雰囲気。サービスも洗練されており、食事に集中できる環境が整えられている。
「焼鳥を超えた、美食の新境地」――そんな言葉がぴったりの「飛鳥くら田」。高級グルメを楽しみたい人や、美味しい焼鳥を極めたい人には、ぜひ一度訪れてほしい名店だ。
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