先日、妹から神戸の旅行に行った際のお土産として面白いものをもらった私。
その名も、「宝缶チューハイ」のペットボトル。ラベルにもしっかりと「canchuhi(缶酎ハイ)」と記載されつつ、容器はペットボトルなのである。
「缶チューハイ」の代名詞ともいえるタカラ缶チューハイは、1984年の発売以来、40年近く愛され続けている飲み物。
そこで今回の記事では、宝缶チューハイの歴史やこだわりの製法について調べ、また実際にペットボトル版を試飲した感想を書いていきたい。
- そもそもチューハイとは?
- なぜ焼酎を使うの?
- タカラ缶チューハイの美味しさの秘密とは?
- タカラ缶チューハイのペットボトル版を飲んでみた!味のレビュー
- アルコール飲料のペットボトルが少ない理由とは?
- まとめ
そもそもチューハイとは?
焼酎ハイボールが「チューハイ」になった理由
チューハイは、実は「焼酎ハイボール」の略称である。
焼酎を炭酸水で割ったシンプルなカクテルで、昭和20年代後半から居酒屋で親しまれるようになったという。当時は焼酎にレモン果汁やシロップを足して、自分でカスタマイズするのが定番。手軽で飲みやすいことから、次第に若者の間で人気を集めるようになった。
そんな中、1984年に宝酒造が「日本初の缶入りチューハイ」として発売したのが「タカラ缶チューハイ」。焼酎メーカーならではの技術力を活かし、居酒屋の味をそのまま缶に閉じ込めることに成功。
それ以来、「チューハイ」といえばタカラ缶チューハイが代名詞になったという。
なぜ焼酎を使うの?
チューハイの主役である「焼酎」は、軽い味わいとさっぱりした後味が特徴。
宝缶チューハイでは、「樽貯蔵熟成酒」をベースにすることで、すっきりした飲みやすさと深いコクのバランスを追求。この「焼酎+炭酸+果汁」の組み合わせが、40年にわたるロングセラーを支える秘訣なのだ。
タカラ缶チューハイの美味しさの秘密とは?
画像出典: 宝酒造公式サイト
美味しさを支える3つのポイント
先述のとおり、宝缶チューハイの美味しさの中心には、11種類の「樽貯蔵熟成酒」がある。宝酒造は約2万樽の中から厳選した焼酎を絶妙にブレンドし、深みのある味わいを出しているのだそう。
さらに美味しさを支えるのが、宝缶チューハイに使われている「炭ろ過水」。
活性炭を使って丁寧にろ過された水は、クリアで雑味がなく、焼酎や果汁の風味を最大限に引き立てるのだとか。
確かに実際に飲むと、「すっきりしているのに、しっかり濃厚!」という絶妙なバランスが感じられる。どんなフレーバーを選んでも、このベースのこだわりが統一感を保ち、長年のファンを裏切らない完成度を実現しているのかもしれない。
また、果汁にも徹底したこだわりを持っており、一番人気のレモンフレーバーは、世界的に評価が高いシチリア産冬摘みレモンを使用。
鮮度が高く、果汁の濃厚さと香りが際立つ素材だけを厳選することにより、チューハイながら本格的な柑橘の味わいが楽しめるというわけだ。
歴史 – 日本初の缶チューハイ誕生ストーリー
1980年代の「チューハイブーム」から始まった挑戦
タカラ缶チューハイが誕生した1980年代は、首都圏を中心に「チューハイブーム」が巻き起こっていたらしい。焼酎を果汁や炭酸で割った飲み方が若者の間で大人気となり、居酒屋や家庭でも楽しむ文化が定着していった時代。
その流れをいち早くキャッチしたのが宝酒造。
「家庭でも手軽に楽しめる缶入りのチューハイがあれば、もっと多くの人に親しまれるのでは?」
という発想から、日本初の缶入りチューハイ「タカラ缶チューハイ」の商品化プロジェクトが1983年に始動。
試作を重ねてたどり着いた究極の味わい
プロジェクトの最大の課題は「味」。どんなに手軽さを追求しても、味が納得できるものでなければ意味がない。
開発チームは東京の上野や新宿、大阪のミナミなど、全国の有名店を巡り、理想的なチューハイの味を探し、ついにスタッフ全員が「これだ!」と思える味に出会う。
それが、宝焼酎「純」をベースにレモンを加えた、シンプルながら飲みやすく後味抜群の味わい。さらに試作を繰り返し、ようやく現在の「タカラ缶チューハイ」の原型が完成したという苦労があるのだそうだ。
こういった話を聞くと、私も全国津々浦々のものを食べたり飲んだりして、開発してみたいという欲がわしわし湧いてくる。
余談だが、私は旅行のモチベーションが温泉か食のパターンしかない。食と温泉が満喫できる旅行地があれば、ぜひ皆さんにも教えていただきたい。
「タカラ缶チューハイ」の誕生
1984年、日本初の缶入りチューハイとして「タカラ缶チューハイ」がついに発売。当初のフレーバーは〈レモン〉〈純ハイ〉〈プラム〉〈グレープフルーツ〉の4種類。
シルバーの缶にシンプルなロゴデザインは、当時としては斬新で目を引くもの。
発売直後から電話注文が殺到するほどの売れ行きを記録し、缶チューハイのパイオニアとしての地位を確立したのだそう。
私の祖父もよくこの「タカラ缶チューハイ」を好んで飲んでいたことを思い出す……。
長年愛され続ける理由
「タカラ缶チューハイ」は誕生から40年近くたった今でも、当時のシンプルな美味しさをそのまま守り続けているというが、変わらないのは味だけではないという。
缶のデザインもシンプルながら普遍的で、世界的なグラフィックデザイナー松永真氏によるもので、発売当初から支持を集めている。2013年には「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞し、その魅力が改めて評価された。
タカラ缶チューハイのペットボトル版を飲んでみた!味のレビュー
ということで、ペットボトルの「タカラ缶チューハイ」を家で楽しんでみた。
まず、ペットボトルだからといって味に妥協は一切なく、缶チューハイそのままの美味しさをしっかり感じられる。
特に印象的だったのは、心地よいレモンのほろ苦さとスッキリした後味。
「これぞタカラ缶チューハイ!」と思わせる、昔ながらのあの味がペットボトルでも健在。長年愛されてきた味を、この新しいスタイルで楽しめるのは感動的でさえある。
また、缶に比べて重くなく、お土産にもちょうど良い。キャップも締められるので、飲み切れなかったら再度冷蔵庫にも入れられて、便利さもある。
アルコール飲料のペットボトルが少ない理由とは?
ということで、ペットボトル版の「タカラ缶チューハイ」は美味しかったのだが、一般的にアルコール飲料のペットボトル商品はまだまだ少数派な気がしている。その理由には、以下のような課題があるからだそう。
1. 炭酸が抜けやすい
ペットボトルは密封性が高いものの、缶や瓶に比べると微細な隙間からガスが抜けやすい構造になっている。特に炭酸飲料は時間が経つと気が抜けてしまい、風味が落ちる可能性があるため、従来はアルコール炭酸飲料にはあまり適していないとされてきた。
2. アルコールとPET素材の相性
アルコールはペットボトルの素材(PET)に影響を与えることがある。
特に高濃度のアルコールを長期間保存すると、ボトルの内側に成分が溶け出したり、風味が変わるリスクがあるため、ペットボトルでアルコール飲料を販売するには、特殊な加工技術が必要になる。
3. 日本における規制の影響
日本では、長らくアルコール度数が10%以上の飲料をペットボトルで販売することが制限されていた。この規制があったため、ビールやチューハイなどのアルコール飲料は、缶や瓶で販売されるのが一般的だったとのこと。
ただし、近年では一部の規制が緩和され、今回の「タカラ缶チューハイ」のようなペットボトル商品が登場し始めているのだそう。
4. 消費者のイメージとマーケットの影響
ペットボトルは「清涼飲料水」のイメージが強く、アルコール飲料にはあまり馴染みがない。
特に、日本ではビールやチューハイといえば「缶で飲むもの」という固定観念があり、ペットボトルでの販売が広がりにくかった側面もある。
しかし、今回のペットボトル版のタカラ缶チューハイは、持ち運びの利便性や保存のしやすさを活かした新たな市場開拓の試みとも言えるだろう。
まとめ
今回は、お土産にもらったペットボトル版の「タカラ缶チューハイ」を実際に試してみて、その味わいや利便性の高さを実感。
ペットボトル版のアルコール飲料はまだ少数派だが、今回のような商品が浸透すれば、ビールやハイボールなど、他のアルコール飲料もよりペットボトル化の波が広がるかもしれない。
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