皆さんは、予約したはずの食事の席が当日用意されていなかった、という経験はあるだろうか。
先日、妹のソムリエ資格取得を祝うため、事前に電話で予約を入れていたのだが、当日お店に到着すると予約が確認できないと言われた。思わぬ事態に少し焦ったが、電話の履歴を確認しながら状況を説明すると、スタッフはすぐに対応し、落ち着いて席を用意してくれた。
こちらの話を丁寧に聞き、冷静に対応してくれたスタッフのホスピタリティには感動。むしろ、この出来事をきっかけに、さらにこのレストランのファンになったほどである。
結果として、素晴らしい時間を過ごすことができた。今回は、そんな「ラ・グランドメゾン東京」の魅力を紹介したい。
ラ・グランドメゾン東京の基本情報
東京メトロ明治神宮駅徒歩5分もしくはJR原宿駅竹下口徒歩7分の場所にあるフレンチ、「ラ・グランドメゾン東京」。
こちらの場所について、ホームページでも注意喚起されているのだが、googleでこの場所を住所検索したら別の場所に誘導されてしまうので要注意だ。私はホームページを見なかったために、マンションの駐車場に誘導されてしまった。私と全く同じ間違いをしてしまった人としばらくウロウロしてやっと見つけた。
それなので、行く際は是非こちら(HPアクセス)から場所を確認するのが良いだろう。
・住所
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1丁目4−20 パークコート神宮前 1F
・電話番号
03-6721-0852
・営業時間
火・水曜日:定休日
木~月曜日:11時30分~13時30分, 18時00分~20時00分
・予約サイト
ラ・グランドメゾン東京とは?
東京の喧騒を忘れさせる特別な空間で、新たな「東京キュイジーヌ」を体験できるフレンチレストラン。
「Style Tokyo, Cuisine Tokyo(スタイル東京、東京キュイジーヌ)」をコンセプトに、日本全国から厳選した食材を用い、苦味・酸味・熟成・焙煎・燻製 など、さまざまな味わいを巧みに組み合わせたコース料理を提供している。
オープンキッチンでシェフが腕を振るい、庭のある落ち着いたロケーションで、五感を刺激する独創的なフレンチを堪能できるのが魅力。
料理長の若月佑太シェフが手がける一皿一皿は、まるで味覚の探検のよう。体に優しく、素材の自然な味わいを活かした料理が楽しむことが出来る。
ラ・グランドメゾン東京の特別フレンチコース
頼んだのはシェフのおまかせフルコースという18,000円の9品のコース。来店の3日前までに要予約のコースなのだが、トラブルがあったため、当日、私たちのためだけに作られたというスペシャルメニューになった。
季節の3点盛りアミューズ
テーブルに運ばれたのは、野沢菜とパルミジャーノのケークサレ、チーズと抹茶のタルト、山椒をきかせた生ハムチーズを柚子大根で挟んだ一皿。
ロゴの焼き印がついたオリジナルの木製食器が、何とも可愛らしい。
ひと口頬張ると、ケークサレのふんわりとした食感に、野沢菜のシャキッとしたアクセントが加わる。チーズのコクとパルミジャーノの塩気が絶妙で、すでにワインが欲しくなる味わいだ。
チーズと抹茶のタルトは、サクッとしたタルト生地の香ばしさに、濃厚なチーズのクリーミーさと抹茶のほろ苦さが調和。甘さは控えめで、アミューズにぴったりの一品。
そして、生ハムと柚子大根の組み合わせ。山椒の爽やかな辛みが心地よく、柚子大根の酸味と生ハムの塩気が絶妙なバランスを生み出している。
見た目にも美しく、ひと口ごとに異なる味の変化が楽しめる、まさに味覚のウォーミングアップとなるアミューズだった。
コンソメと豆乳のヴェリーヌ
運ばれてきたのは、透明感のある黄金のコンソメが層を成した美しい一皿。上から、鶏のコンソメ、豆乳とクリームチーズのフラン、牛のコンソメという三層構造になっている。
「全ての層を一度に掬ってください」と勧められ、スプーンをゆっくりと沈めてすくい、一口。
まず広がるのは、鶏コンソメの澄んだ旨み。続いて、豆乳とクリームチーズのフランが滑らかに舌を包み込み、まるでシルクのような口当たり。最後に、牛のコンソメの力強いコクが余韻を残す。
海老とキャビアが控えめにのせられており、食べ進めるごとに、塩味と旨味のアクセントが加わる。
味わいの繊細さ、食感の滑らかさ、余韻の豊かさ。まさにフレンチの真髄ともいえるコンソメだった。
芭蕉鹿のタルタル
次に登場したのは、ガラスのドームに包まれた一皿。
目の前でドームが開かれると、ゆらゆらと漂う燻製の煙が、鹿肉のタルタルに絡みつくように広がる。
芭蕉鹿は、30分以内に締めた三重県産のものを使用しているため、驚くほどの新鮮さ。
ナイフを入れると、しっとりとした質感で、口に運ぶと噛むほどに赤身の旨みが広がる。
そして、真っ白なパウダーのようなものが添えられていた。
これはフリーズドライしたオリーブオイル。そのまま食べるとサラサラと溶けるように消え、スモーキーな鹿肉と合わさると、まろやかなコクと香りの余韻が引き立つ。ただ、無理につけなくても良いとのことだったので、魅せるための演出が中心なのだろう。
このタルタルは、視覚・嗅覚・味覚のすべてを刺激する、エンターテイメント性のある一皿だった。
自家製パンと焦がしバター
ダッチオーブンの蓋が開けられると、焼き立てパンの香ばしい香りが一気に広がる。
見た目はカンパーニュのような素朴な仕上がりだが、外はパリッと、中はもっちりとした食感。
添えられているのは、ほんのり茶色がかった焦がしバター。
口に入れると、通常のバターよりも香ばしく、ナッツのようなコクがあり、パンの旨みを引き立てる。
そして、バターの真ん中には一滴のハチミツ。これは、明治神宮で採取されたハチミツとのこと。
バターのリッチな風味に、ハチミツの優しい甘さが加わり、シンプルながらも感動的な組み合わせだった。
ビーツのヴルーテ
三浦産のビーツを使用したヴルーテは、鮮やかな赤紫色のスープ。
スプーンですくうと、ややとろみがあり、滑らかな口当たり。
ビーツ特有の土のような香りがほのかに漂い、口に入れると優しい甘さが広がる。
ヴルーテらしく、フォンとバターのコクがしっかりと下支えしており、単なる野菜スープとは一線を画す奥深い味わい。
見た目も美しく、フレンチらしい洗練されたスープだった。
スズキのポワレ ブールブランラズベリーソース
次に登場したのは、銚子産のスズキのポワレ。
皮目はパリッと焼かれ、身はふっくらとした絶妙な火入れ。
ソースは、ブールブランにラズベリーの酸味を加えたもの。
バターのコクに、ラズベリーのフルーティーな酸味が加わることで、淡白なスズキに鮮やかなコントラストを生み出している。
付け合わせのホタテやゼンマイなどの焼き野菜も、それぞれがしっかりと味わいを持ち、全体のバランスが見事に取れていた。
発酵パイナップル
コースの流れを整える口直しとして運ばれてきたのは、発酵パイナップル。
見た目はまるでロリポップのような可愛らしい仕上がり。
きゅん。
一口かじると、パイナップルの甘酸っぱさに、ほんのりとした発酵のニュアンスが重なり、爽やかな余韻が広がる。
発酵によって甘みがより深まり、酸味とのバランスが絶妙に調整されている。
味覚をリセットするための小さなアクセントとして最適な一品だった。
上州牛のイチボとフォアグラトリュフ
そして、コースのメインディッシュとして登場したのが、上州牛のイチボとフォアグラ、そしてトリュフの饗宴。
イチボは赤身の旨味が濃く、それでいて柔らかな食感。
ナイフを入れるとスッと切れ、噛むほどに肉の旨みがじんわりと広がる。
そこに贅沢に加わるフォアグラの濃厚なコクと、ソースに絡むトリュフの芳醇な香り。
三位一体となった贅沢な味わいが、口の中でとろけるように融合していく。
ソースは、肉の旨味を引き立てるクラシックな仕上がりで、赤ワインとの相性が抜群だった。
まさに、フレンチの王道を極めた一皿。
パティシエのインスピレーション「金柑」
デザートに登場したのは、パティシエが自由な発想で生み出した「金柑」をテーマにした一皿。
艶やかな金柑の甘酸っぱさを活かしたコンポートがチョコレートムースに美しく盛り付けられている。
金柑特有の柑橘のほろ苦さと、ムースの甘みとのバランスが見事で、口に入れるたびに味わいの変化が楽しめる。メレンゲの食感がアクセントになっているのも面白い。
酸味がしっかりあるので、食後のデザートとしても爽やかで、最後まで心地よく食べ進められる一皿だった。
カフェ
最後は、食後のコーヒーとともに提供される焼き菓子のプティフール。
ロゴがプリントされたクッキーサンドやヴァッフェルが美しく並び、コースの締めくくりにふさわしい、シンプルながらも贅沢な味わい。
カプチーノはきめ細やかなフォームミルクがたっぷりで、優しい口当たり。
コクのあるエスプレッソの苦味と、焼き菓子の甘さが絶妙にマッチしていた。
「余韻を楽しむ時間」として、リラックスしながら味わえるひとときだった。
ワイン好き必見!ラ・グランドメゾン東京のペアリング体験
今回も勿論ワインペアリングを楽しませていただいた。ちなみにこちらでは容量別で「50cc x 6種類(8,000円)」と「75cc x 6種類(12,000円)」の2パターンから選ぶことが出来る。
乾杯のシャンパーニュ、テタンジェのブリュット・レゼルヴをいただき、続いてアルザスのピノ・ブランを提供いただく。
複数品種で作られたモン・ブランというオレンジワインや2012年の10年以上熟成されたアメリカのシャルドネなどの面白いワインをいただきつつ……。
シチリアのロゼワインなども。
メインと合わせる赤ワインは、定番といえるであろうブルゴーニュのジュブレ・シャンベルタンとブルガリアのエニーラ レゼルヴァ。
エニーラは濃厚な赤がコスパ良く楽しめることで有名だ。ボルドーブレンドなので、ボルドーワイン好きには一度試してみてほしい。
お土産も充実
楽しい食事の時間が終わり、帰りの時間に。
妹にお店から御祝のプレゼントまでいただいてしまった。
こちらのお店では焼き菓子の他、チョコレートなども販売されていて、しかもそれが非常に美味しそうである。
ちょっとした手土産や、お家のティータイム用に、買って帰るのも良いだろう。
まとめ
「ラ・グランドメゾン東京」は、料理のクオリティの高さと、ホスピタリティの素晴らしさが際立つレストランだった。
予約トラブルがあったものの、スタッフの方々の迅速で丁寧な対応のおかげで、結果的に特別な時間を過ごすことができた。
料理はどれも洗練されており、コンソメのヴェリーヌなど、印象的な一皿も。ワインペアリングも秀逸で、料理との相性を存分に楽しめる。
特別な日のお祝いに、心に残るひとときを過ごせる場所。そんなレストランを探している方に、ぜひおすすめしたい。
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