右手にはワインを、左手にはビールを。

美味しいの裏側には、作り手のストーリーがある。Googleレビュー上位5%の酒好きが綴る食と酒のノンフィクション。

【船橋イベントレポ】小説から生まれたビール「あおぞらビール」を現地で体験!NHKドラマ化も決定

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「人生の豊かさは、大自然の中、青空の下で、キンキンに冷えたビールを飲んだ回数で決まる」

そんな一文が記されているのは、作家・森沢明夫さんのエッセイ集『あおぞらビール』。

学生時代のアウトドア体験や、友人たちとのキャンプ、ちょっと変な人たちとの出会い——そのすべてが“青空のビール”というフィルターを通して、ほろ苦く、そして笑える物語になっている。

そして2025年春、この物語に共鳴した人々の手によって、現実のクラフトビールとして「あおぞらビール」が誕生。

舞台となったのは、森沢さんの地元・千葉県。ビールを通して物語の世界観を再現するという、全国でも珍しいプロジェクトが動き出したのだ。

その一環として、船橋で開催された「未来の船橋フェスティバル」というイベントで各ブルワリーの試飲ブースが。

試飲や音楽でにぎわったその現地の様子を、実際に体験してきた。

【千葉発】“あおぞらビール”プロジェクトとは?|小説から生まれたクラフトビールの物語

小説家・森沢明夫さんのエッセイ集『あおぞらビール』に動かされた有志の人たちが、「この物語の世界をビールで再現したい」と願いをこめて立ち上げたプロジェクト。

当初は「千葉のメロンやイセエビ」を原料に使ったビールから始まり、最終的には八千代市産のコーヒーを使ったビールが“最初のあおぞらビール”として完成。森沢さん自身も試飲会に参加し、「あおぞらビール監修者」としてプロジェクトに深く関わっている。

この情熱は千葉県内のブルワリーに広がり、現在では36カ所以上に呼びかけられ、それぞれの「あおぞらビール」が誕生しているという。

「小説を読んだら、立ち上がりたくなった。」

そんな真っ直ぐな情熱で始まった、心もあたたまるローカルプロジェクトだ。

【イベントレポ】未来の船橋フェスティバル2025|雨天でも関係ない!会場と雰囲気を現地レポート

あおぞらビールプロジェクト試飲ブース

あおぞらビールプロジェクト試飲ブース

2025年5月17日、船橋駅北口エリアで開催された「未来の船橋フェスティバル」

講演会の会場となったのは、公園の目の前にある「船橋情報ビジネス専門学校」。その向かいに広がる天沼弁天公園には、クラフトビールのブースや地元飲食店、マルシェがずらりと並んだ。

あいにくの雨模様だった(それも洪水レベル)が、音楽ステージではジャズや金管アンサンブルの生演奏が続き、雨粒のリズムと相まって、どこか映画のワンシーンのような空気感。

来場者が足をとられながらも、紙コップ片手にビールを楽しむその風景こそ、“あおぞら”の精神そのものだった……のかもしれない。

NHK夜ドラ「あおぞらビール」2025年6月スタート|森沢明夫原作の青春ビールドラマとは?

このプロジェクトの原点ともいえるエッセイ『あおぞらビール』は、NHKでの連続ドラマ化も決定。放送は2025年6月16日(月)スタート、夜10:45から15分枠で全32話の予定だ。

主演は窪塚愛流さん。物語の舞台は千葉の川や山。
「人生の豊かさは、青空の下で冷えたビールを飲んだ回数で決まる」という自由人・森川を中心に、就活・友情・恋・冒険が描かれるアウトドア青春群像劇。

キャンプ、釣り、野草料理、ビール。ビール好きだけでなく、日々を少し自由に生きたいすべての人に向けた、ゆるくも芯のある作品だ。

www.nhk.jp

【飲み比べレポ】千葉のクラフトブルワリーが手がける“あおぞらビール”特集!

この日のイベントでは、千葉県内の複数のクラフトビール醸造所がそれぞれの「あおぞらビール」を出店していた。飲み比べをしながら各ブルワリーの個性を味わえるのも、このイベントならでは。

すべてのブルワリーを回るのは難しかったものの、いくつかの注目ブースを巡ってみた。

【松戸】YAGIRI BREWERY(矢切ブルワリー)

矢切ブルワリーのブース

矢切ブルワリーのブース

試飲したのは「HIMMEL(ヒンメルラガー)」。あおぞらビールプロジェクトのために作られたビールだそうだ。

ヒンメルラガーPOP

ヒンメルラガーPOP

スッキリとして飲みやすく、晴れた空の下が似合いそうな1杯。

ドイツ語で「空」を意味するこのラガーは、ドイツ北部の麦芽を使い、日本の軟水に合わせて造られたという丁寧な造りが光る一杯。

矢切ブルワリーは、自転車仲間だった先輩後輩が立ち上げたブルワリー。地元の“矢切ビール祭り”に本物の“矢切のビール”がなかったことに衝撃を受け、「無いなら自分たちで造る」と誓ったことが創業の原点。

飲んだ人の心に「!」が灯るような驚きを届けたいと、常識に縛られずユニークなスタイルに挑戦しているのが特徴的。

ブルワリーの方にイチオシのビールは?と伺ったところ、Hazy IPAの「CANVAS」というビールという回答が。

そのビールが美味しすぎて、過去のイベントで9杯も飲んだ方がいるほど人気だそうだ。

特徴はホップを大量に用いて、柑橘×トロピカルなフレーバーが最大限に引き出された非常になHazy IPAとのことで、聞いているだけで飲みたくなってしまった。www.yagiribrewery.com

【市川】まるやブルワリー

まるやブルワリーPOP

まるやブルワリーPOP

試飲したのは「珈琲哀愁(コーヒービール/3.5%)」

スタウトかな?と思っていたら、実際に副原料としてコーヒーを使用しているとのこと。実際にビールを醸造している方から「コーヒー豆を吊るして~」、なんていう裏話も聞かせていただき、期待は無限大。

こちらをいただいたところ、やさしくて香ばしい味わいが口の中に広がっていった。低アルコールで飲みやすく、コーヒーの香りがアクセントとなっている。

まるやブルワリーは、老舗文具店「丸屋文具店」3代目の店主・釘抜克典さんが市川活性化のために立ち上げたブルワリー。

「子どもから大人へ、成長の先で一緒にビールを楽しめたら」との思いから、文房具とビールの両軸で地域を支える新しい形を目指しているのだそうだ。

・公式Instagramはこちら

【柏】こまいぬブルワリー

こまいぬブルワリーPOP

こまいぬブルワリーPOP

提供されていたのは「オレンジ色の珍獣(フルーツエール/6.0%)」

こまいぬブルワリーのオレンジ色の珍獣(フルーツビール)

こまいぬブルワリーのオレンジ色の珍獣(フルーツビール)

オレンジ果汁とピールを使ったジャンキーで個性あふれる味わいが話題。

ファミリー経営のこまいぬブルワリーは、元塾経営の父、ビアソムリエの弟など理系家族が手がける柏の注目ブルワリー。教育・農業・地域貢献と幅広く関わりながら、唯一無二のビール文化を発信中とのこと。

kashiwa.beer

【流山】流山麦酒 安田屋ブルワリー

この日試飲はできなかったものの、文政元(1818)年創業の酒店「安田屋」を改装したブルワリーとして注目。
「おもいっきり流山!」を合言葉に、地元の米・果実・花などを活用したビール造りで、町と人をつなげる“和”の場を目指しているのだそうだ。

yasudaya-brewery.com

今後のあおぞらビール出店予定|イベント参加のチェックは公式サイトへ!

あおぞらビールプロジェクトでは、今後も県内各地のイベントへ出店予定。

詳しくは公式サイトから出店スケジュールのチェックが可能。

・あおぞらビールプロジェクト公式サイト:https://aozorabeer.com/

※各種イベント出店情報はこちら

直近イベント情報

「あおぞらビール開栓式 5月30日(木)19:00~/サッポロビール園」

『あおぞらビール』連続ドラマ化&ビール完成を記念した開栓式が開催されるとのこと。森沢明夫さんご本人も参加予定!

会場:サッポロビール園

内容:飲み放題・食べ放題(1時間半)

参加費:11,000円(税込)

定員:先着250名

申込:専用サイトより(要事前予約)

あとがき:青空の下で、ビールと人と物語がつながる

今回参加した「あおぞらビール」試飲イベントは、単なるクラフトビールの祭典ではなく、小説の世界観を現実の味わいで表現した、面白い取り組み。

小説をきっかけに千葉のブルワリーが集まり、それぞれの「あおぞら」を形にしてしまうなんて。

どのビールにも作り手の個性と愛情が込められているのを感じたので、これを機脚気に、「とりあえずビール」ではなく、物語のあるビールが広がっているのを、密かに応援させていただきたい。

 

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