びわの季節がやってきた。
ありがたいことに、先日たっぷりのびわが届いて、台所が初夏の香りでいっぱいに。
私にはいつも柿やサクランボ、ぶどうなど、毎度庭の木になった果実をおすそわけしてくれる優しい方がいて、その度に何か作ってみるという楽しみ方をさせて頂いている。
▼渋柿で干し柿を作った際の記事はこちら
今回も生で食べるだけでなく、色々と加工して楽しんでみることにした私。
実はびわは、果実だけじゃなく葉も使えることで有名だ。例えばびわの葉茶にしたり、入浴剤にしたり、実とはまた違った魅力があったりする。
今回は、びわの実もびわの葉もまるごと活用してみた記録を、写真と一緒に紹介していきたい。
びわがたくさん手に入ったときの保存法やアレンジに悩んでいる方の参考になれば嬉しい。
びわの基本情報と下処理
びわとは?
びわ(枇杷)はバラ科ビワ属の常緑樹で、初夏に旬を迎える果物だ。
果実はやわらかくジューシーで、ほのかな甘みと上品な香りが特徴。
散歩しているとたまにびわの木を見かけるが、日本では古くから庭木として親しまれており、葉はびわ茶や入浴剤としても利用されるなど、実も葉も活用できる珍しい果物のひとつである。
中にはびわの葉を求めて病人が集まるため、びわの木は縁起が悪いので植えてはいけないなんていう迷信もあったようだ。
びわの下処理
まずは届いたびわを仕分け。実と葉に分けて、それぞれ丁寧に洗っていく。
葉は意外と重く、今回届いたもので約350gほどもあった。
びわの葉は水で優しく洗い、表面の汚れやホコリを落としたあと、乾いたタオルで水気をしっかり拭き取っていく。
一方で、実の方は表面が傷つきやすいため慎重に扱い、やわらかい果皮をやさしく剥いていく。こちらもはかってみたところ、なんと1kg以上にもなっていた。
作り甲斐しか感じない……!
中には少し痛んでいる果実もあったので、優先して加工用に回すことに。
まずは皮を剥くのだが、びわは果実が柔らかいので、手作業でも簡単に皮剥きできる。
さらに、びわの実を半分に切って、種を取り出す。
生のままでも美味しい
びわは生でも美味しい果物なので、加工をする前にまずは生食。
瑞々しくて、やさしい甘さが口いっぱいに広がっていく……。
美味い~!!!
びわの果肉はとても繊細で、水分をたっぷり含んでいるのが特徴。
旬のびわは、皮を剥いた瞬間から果汁が滴るほどジューシーで、口当たりもなめらか。
冷蔵庫で冷やしておけば、暑い日のおやつやデザートにもぴったりだ。ヨーグルトに添えたり、ミントを散らして大人の味に仕上げるのもおすすめ。
びわの葉の使い道
びわの葉茶
さて、お次はびわの葉をお茶にしていく。
びわの葉には産毛があり、そのままでは飲みにくいため、まずは濡らした葉の裏側の毛をナイフでこそげ取る。
丁寧にこそげることで、口当たりの良いお茶に仕上がるという。
この産毛の量が、何気に多かったりする……。結構大変な作業である。
その後、葉を数日天日干しにするか、フードドライヤーでじっくり乾燥させる。
今回使用したのはフードドライヤー。重なりをできるだけ避けて並べることで均一に乾燥でき、風味も飛びにくくなるのだ。
6時間ほど乾燥させた後、乾いた葉をはかったところ、なんと72gに。
乾かす前の5分の1ほどの軽さにもなった。
乾いたびわの葉はジップロックなどで密閉保存。
必要な分だけ砕いて茶こしに入れ、熱湯を注ぐと、びわの葉茶の完成だ。
びわの実と同じくほんのりオレンジ色の液体は、香ばしくまろやかな風味で、リラックスしたい時にぴったり。
びわの葉茶はノンカフェインなので、寝る前にも安心して飲めるのもポイント。
びわの葉にはアミグダリンという成分が含まれ、古くから健康茶として親しまれており、重宝されてきた理由も納得の美味しさだ。
ちなみにKINTOのティーポットだと、細かい葉くずも通さないので、綺麗にお茶を煮出せておすすめだ。
びわの葉入浴剤
びわの葉が余ったので、他にも何か楽しめる方法がないかと探していたところ、なんと入浴剤としても使うことが出来るとのこと。
びわの葉を生のまま、もしくは乾燥させてから布やガーゼで包み、お風呂に入れるだけで簡単に入浴剤として楽しめるのだとか。
もしくは、お茶よりじっくりと長く煮て、煮だしたエキスをお湯に入れるのでも良いという。
びわの葉風呂は昔から民間療法として親しまれており、肌荒れや冷え性に良いとも言われているという。お湯に浸かれば、やさしい香りが浴室に広がり、心も体もリラックス……。
市販の入浴剤とはまた違う感覚を楽しんでみても良いだろう。
びわの実の加工レシピ
びわジャム
次はびわの実を砂糖と一緒に煮詰めて、コトコトとジャムに。
煮詰めていくと鮮やかな色合いから、深みのある美しいオレンジ色に変化していく。
焦げ付かないように時折混ぜながら、とろみが出るまでじっくり煮ていくと、だんだんと固まっていく。
ちなみにもし固まらなかったら、寒天粉を入れても良い。
火を止めた後はレモン汁を少し加えると、色味がさらに鮮やかになり、保存性も高まるのでオススメだ。
煮沸消毒した瓶に詰めれば、保存もばっちり。冷蔵庫で約1ヶ月、冷凍すればさらに長持ちする。
ジャムはパンにつけて食べてももちろん良いが、せっかくなのでこのジャムを活かして色々と作ってみることに。
びわジャム入りジントニック
ということで、酒好きの私のジャム活用法としておすすめなのは、ホワイトリカーのカクテルに混ぜるという方法だ。
私は今回ジントニックに混ぜてみた。
さっぱりしたびわジャムをジントニックに加えてくるくる回すと、トロピカルな香りが引き立ち、フルーティーなカクテルに早変わり。
びわの甘味にほのかな酸味、そしてジンの苦みが絶妙にマッチして美味しい……!
びわジャム寒天
次は和菓子に。固めるための容器の底にびわジャムを入れ、果汁を加えた寒天を流して固めれば、夏らしい和スイーツの完成。
透明感のある寒天にびわのオレンジ色が映えて、見た目も涼やか。
そして何より上品な甘味が素晴らしい……!
びわドライフルーツ
びわはそのままで食べるとほのかに甘味がある程度なので、それを凝縮させるとどんな味になるのかと気になっていた私。
おつまみにもなるので、びわのドライフルーツを作ることに。
びわの果肉は半分に切って、フードドライヤーに並べて乾燥させる。温度は60度前後、時間は6〜8時間程度がおすすめ。
乾燥が進むにつれて、びわの自然な甘さが凝縮され、噛めば噛むほど味わい深い仕上がりに。
食べてみるとみかんの甘さに非常に似ている……。個人的にはかなり意外だった。
白ワインと合わせても美味しく、それ以外にもおやつ代わりに食べたり、グラノーラに加えたり、紅茶に浮かべて香りを楽しむのも良いだろう。
びわ果実ゼリー
そして、びわといえば、やはりびわゼリーだろう。
びわゼリーは長崎県の名物商品でもあるが、あれはまるまる果実が入っていたなぁ……。
せっかくなら再現したい!
ということで、びわの実の種を取り除き、ゼリーの中心に配置。
びわ果汁と砂糖、ゼラチンを溶かした液を半円型の冷茶グラスに注ぎ、冷蔵庫でじっくり冷やし固めることに。
透明感のあるゼリーの中に浮かぶびわの果実は、まるで宝石のよう。食感はぷるんと柔らかく、夏のデザートとして大人から子どもまで楽しめる。
仕上げに金箔をのせれば、おもてなしにも使える特別感のある一品に早変わり。
我ながら結構うまく作ることが出来た……、ふふふ。
まとめ|びわは葉も実も丸ごと楽しもう
びわは実も葉も余すことなく楽しめる、まさに自然からの贈り物。
捨てる部分がほとんどなく、保存や加工の幅も広いので、季節の恵みを最大限に生かすことができるのだ。
今回紹介したレシピやアイデアは、びわがたくさん手に入ったときだけでなく、少量でもチャレンジ可能。
ぜひチャレンジして、びわのある暮らしを楽しんでみていただきたい。
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