右手にはワインを、左手にはビールを。

美味しいの裏側には、作り手のストーリーがある。Google飲食店レビュー2,000万回閲覧の酒好きが綴る食と酒のノンフィクション。

ル・プリスティン東京×ポメリー実食レポ|シャンパン5種ペアリングとライブアートの一夜限りディナー【虎ノ門ヒルズ】

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シャンパーニュを飲みながら、目の前で「書」が生まれていく。そんな一夜限りのディナーが、2026年6月3日、虎ノ門ヒルズの「ル・プリスティン東京」で開かれた。

ミシュランスターシェフ、セルジオ・ハーマンが手がける「NEW ITALIAN」の全5品に、シャンパーニュ ポメリー5種のペアリング。そこに書家・松井ユカ氏によるライブアートが重なる、料理・アート・シャンパーニュの共演である。

発売3日後の新作シャンパーニュから、プレステージ「キュヴェ・ルイーズ2008」まで登場した贅沢な一夜を、詳しく記録しておきたい。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。飲酒運転は絶対にやめましょう。

LE PRISTINE TOKYO by Sergio Hermanの店名サイン。木漏れ日のような光が壁面に揺れる
エントランスの店名サイン。木漏れ日のような光の演出が美しい

ル・プリスティン東京とは|虎ノ門ヒルズのNEW ITALIAN

ル・プリスティン東京(LE PRISTINE TOKYO)は、ベルギー・アントワープに本店を構えるレストラン「ル・プリスティン」のアジア初進出店である。手がけるのは、オランダ出身のミシュランスターシェフ、セルジオ・ハーマン氏。母国オランダ・ゼーラント地方の伝統に敬意を払いながら、イタリア料理のエッセンスを現代的に昇華させた独自のスタイルを「NEW ITALIAN(ニューイタリアン)」と称している。

店は2023年12月、虎ノ門ヒルズのホテル虎ノ門ヒルズ(The Unbound Collection by Hyatt)1階に開業。現地のキッチンを統括するのは、オランダ出身のエグゼクティブシェフ、デニス・カイパース氏。セルジオ・ハーマン氏の世界観を、日本の旬の食材を織り交ぜながら現場で表現している。

黒い縦格子の間仕切りと壁面のミラーボール。天井に光のドットが散る
黒い縦格子とミラーボール。光が空間全体に散る

「食」「ファッション」「デザイン」「アート」「音楽」の5つのエレメントが混然一体となった「没入型ガストロノミー」を掲げているのが、この店の特徴だ。天井の高いメインダイニングには、大ぶりのペンダントライト、たっぷりのグリーン、そしてミラーボールが同居する。クラシックなだけのファインダイニングとは一線を画す、華やかでありながら肩肘の張らない空間である。店頭には、MICHELIN 2026のプレートが掲げられていた。

壁に掲げられたMICHELIN 2026の赤いプレート
店頭のMICHELIN 2026プレート
銅鍋が並ぶオープンキッチン。ウェルカムフードの仕込みが進む
オープンキッチンでは仕込みが着々と。ライブ感も味のうち

ポメリー アートコラボレーションディナーの概要

今回のイベントは、シャンパーニュメゾン「ポメリー」を迎えた一夜限りのコラボレーションディナー。書家・松井ユカ氏によるライブアートパフォーマンスを交え、料理・アート・シャンパーニュが優雅に響き合う構成だった。

開催日:2026年6月3日(水)一夜限り
料金:29,700円(税込)+サービス料15%
定員:60名
内容:NEW ITALIAN全5品/ポメリー5種ペアリング/ライブアート
白いクロスのテーブルにポメリーのグラスがずらりと並ぶセッティング
テーブルにはポメリーのグラスがずらり。5種のペアリングを予感させる
Créateur du Brut 1874-2024と記された紺のポメリーのブックレットが置かれたテーブル
席に置かれた紺のブックレット「Créateur du Brut 1874-2024」
見開きのメニューカード。左に料理5品、右にポメリー5種のリスト
メニューカード。料理5品とポメリー5種が向かい合う

【知識ボックス】シャンパーニュ ポメリーとは

世界初の「ブリュット」を生んだメゾン
1836年、シャンパーニュの中心都市ランスに設立。1874年、マダム・ポメリーがシャンパーニュ史上初のブリュット(辛口)を造り出し、それまで甘口が主流だったシャンパーニュの歴史を塗り替えた。
エレガンスのスタイル
エレガントな香りとフレッシュで快活な味わい、魅力的な長い余韻がポメリーの持ち味。今回のペアリング5種は、その系譜を一晩でたどれる構成だった。

ウェルカムフードと乾杯

まずはウェルカムフードと、1杯目のポメリー ブリュット ロワイヤル マグナムで乾杯。ひと口サイズのフィンガーフードが、最初のシャンパーニュを心地よく引き立てる。

木のボードにのった丸い焼き地のフィンガーフード。アスパラと削りチーズをトッピング
オリーブとアンチョビのセイボリーフィンガーフード。塩気とコクが泡に合う
手でつまんだスペック巻きのフィンガーフードのアップ
手でつまんでひと口。粋なスターターだ
ポメリー ブリュット ロワイヤルのマグナムボトル。青と金のラベル
乾杯はブリュット ロワイヤルのマグナムから
LPロゴを刻印したバターとオリーブオイルの小皿
バターには「LP」の刻印。細部まで世界観が行き届く

主催者・シェフの挨拶と、書家・松井ユカ氏のライブアート

コースが動き出す頃、主催者とチームからの挨拶があった。ヴランケン ポメリー ジャパン株式会社の師井研 代表取締役社長、ホテル虎ノ門ヒルズのエグゼクティブソムリエ兼料飲副部長・森覚氏、そしてエグゼクティブシェフのデニス・カイパース氏。それぞれが、この夜に込めた想いを語ってくれた。

マイクを持ち挨拶するヴランケン ポメリー ジャパン株式会社の師井研社長
ヴランケン ポメリー ジャパン株式会社の師井研社長。メゾンの歴史とこの夜への想いを語った
マイクを持ち挨拶するホテル虎ノ門ヒルズ エグゼクティブソムリエ兼料飲副部長の森覚氏
日本を代表するソムリエの一人、森覚氏。ペアリング体験の要だ
白いコックコート姿でマイクを持つエグゼクティブシェフのデニス・カイパース氏
エグゼクティブシェフ、デニス・カイパース氏がコースの意図を紹介

そしてこの夜のハイライトのひとつが、書家・松井ユカ氏によるライブアートだ。床に敷かれた黒い布の上に、白いパネルと、墨で染めた砂。砂を用いたカリグラフィーが、静かに幕を開ける。

黒布の上に白いパネル、墨で染めた黒砂、赤い盆と道具が整えられたライブアートのセット
ライブアートのセット。墨で染めた砂と道具が整えられている

まず、透明な糊で描かれたのは「虎」の一文字。虎ノ門ヒルズだから、虎。会場のロケーションを、そのまま作品のモチーフに昇華させる粋な導入だった。

着物姿の松井ユカ氏が白いパネルに透明な糊で虎の一文字を書く
まだ何も見えない白いパネルに、透明な糊で「虎」を書いていく

そこへまず金箔を散らし、続いて墨で染めた黒い砂と、ポメリーを象徴する青い砂を振りかける。最後に余分な砂をさらりと落とすと、一気に「虎」の文字が浮かび上がった。静かに、けれどダイナミックに、一枚の作品が完成していく様子を、参加者は息をのんで見守った。

糊で書いた文字の上に金箔を散らす松井ユカ氏
糊の上へ、まず金箔を散らす
パネル全体に墨で染めた黒い砂と青い砂を振りかける松井ユカ氏
墨の黒、そしてポメリーの青。砂が振りかけられていく
砂で真っ黒に覆われたパネルを傾け、余分な砂を落とす
真っ黒に覆われたパネルを傾けると——
黒布の上に置かれた完成作。黒と青の砂と金箔で描かれた虎の一文字
「虎」の一文字が浮かび上がる。黒・青・金の砂の書
完成した砂のカリグラフィー作品「虎」を掲げる松井ユカ氏
完成した「虎」を掲げる松井ユカ氏。会場から拍手が湧いた

【知識ボックス】アートの「青と金」はポメリーの色

キュヴェ・ルイーズの3色
ポメリーのプレステージ「キュヴェ・ルイーズ」のボトルには3色のラインが描かれ、それぞれのグラン・クリュを象徴する。ブルーは「純粋さ」、ゴールドは「高貴さ」を表すとされる。
演出との呼応
松井氏の作品に重ねられた青と金は、まさにポメリーのシンボルカラーそのもの。演出の隅々にまで意味の糸が通っていた。

コース全5品×ポメリー5種ペアリング体験レポート

ここからは、デニス・カイパース氏によるコース5品を、合わせたポメリーとともに順に紹介する。どの皿も、イタリア料理の記憶をモダンに更新するような一品だった。

第1皿|高知県産トマトのファルシ × 新作アパナージュ 1874 ブラン・ド・ブラン

料理:高知県産トマトのファルシ 白エビのマリネ/ストラッチャテッラチーズ 酢橘 ペペロンチーノ スペック
ワイン:ポメリー アパナージュ 1874 ブラン・ド・ブラン(2026年6月1日発売の新作)
しのぎ模様の器の中央にのった丸ごとトマトのファルシ。ハーブとクリーム、ハーブオイルを添えて
第1皿、高知県産トマトのファルシ

丸ごとのトマトのなかに、白エビのマリネやストラッチャテッラの旨みを詰め込んだ「ファルシ(詰め物)」。トマトのみずみずしい甘みに白エビの繊細な旨み、酢橘の爽やかな酸が層を成し、ペペロンチーノとスペックが奥行きをつくる。

合わせたのは、なんと2026年6月1日に発売されたばかりの新作「アパナージュ 1874 ブラン・ド・ブラン」。発売からわずか3日後の一杯を、ペアリングでいち早く味わえた。シャルドネ100%、塩味を帯びた生き生きとした余韻が長く続き、トマトの爽やかさに見事に寄り添う。

白いラベルのポメリー アパナージュ 1874 ブラン・ド・ブランのボトル
発売3日後の新作、アパナージュ 1874 ブラン・ド・ブラン

【知識ボックス】アパナージュ1874とパーペチュアル・リザーヴ

ガストロノミーのために生まれたキュヴェ
「アパナージュ ブリュット 1874」は、1874年の世界初ブリュット誕生150年の伝統を受け継ぎ、一皿一皿との対話を楽しむために設計された新世代キュヴェ。ポメリー初のパーペチュアル・リザーヴ(継ぎ足し式のリザーヴワイン)を採用したマルチ・ヴィンテージである。
新作ブラン・ド・ブラン
2026年6月1日発売。グラン・クリュのシャルドネを基盤に、精緻さとボリューム感、塩味を帯びた長い余韻が特徴。飲食店限定販売品だ。

第2皿|セルジオのカネロニ × アパナージュ ブリュット 1874 マグナム

料理:セルジオのカネロニ タラバ蟹 春野菜/リコッタチーズ フェンネルポーレン
ワイン:ポメリー アパナージュ ブリュット 1874 マグナム
しのぎ模様の深皿に盛られたカネロニ。泡状のソースと緑・黄のソースの点
看板メニュー「セルジオのカネロニ」。タラバ蟹を軽やかな泡のソースで

ル・プリスティンの看板メニューである。濃淡のあるソースに甲殻類の旨みが溶け込み、軽やかな泡がそれを包む。イタリアンの伝統をモダンに再構築したような一皿に、マグナムのアパナージュ ブリュット 1874がふくよかに寄り添った。

第3皿(メイン)|国産あか牛 × 2008 キュヴェ・ルイーズ

料理:国産あか牛 茄子 発酵にんにく ホワイトアスパラガスのグリル/和牛ブレザオラ サルサヴェルデ
ワイン:2008 ポメリー キュヴェ・ルイーズ(プレステージ)
青・ピンク・金のストライプが美しいキュヴェ・ルイーズ2008のボトル
プレステージ「キュヴェ・ルイーズ2008」。3色のラインが特級畑を象徴する
しのぎ模様の平皿にのったあか牛のグリル。野菜と和牛ブレザオラ、ソースが美しく配置
メインの国産あか牛。赤身の旨みを引き算で見せる力強い一皿

火の香りをまとった赤身に、発酵にんにくのコク、サルサヴェルデの爽やかさが重なる。脂に頼らない引き算の構成で、余韻が長い。ここに合わせるのは、ポメリーの最高峰「キュヴェ・ルイーズ」の2008年。創業者マダム・ポメリーの愛娘の名を冠したプレステージキュヴェで、アヴィーズ、クラマン、アイの特級畑のブドウのみを使用する。繊細な泡と熟成の奥深い余韻が、力強いメインを受け止める。この夜の白眉だった。

第4皿(デザート)|ヴィショラチェリー × ブリュット ロゼ

料理:ヴィショラチェリー ダークチョコレート ヘーゼルナッツ/アマレッティビスケット
ワイン:ポメリー ブリュット ロゼ
ピンクのラベルのポメリー ブリュット ロゼのボトルとロゴ入りグラス
締めの一杯はブリュット ロゼ
黒い花形の器に盛られた赤いソルベと、ピンクの点が散ったクリームのディスク
ヴィショラチェリーのデセール。花のような盛り付け

赤いソルベの甘酸っぱさに、ダークチョコレートのほろ苦さ、ヘーゼルナッツの香ばしさ。ピンクの点が散ったクリームのディスクが花のように配され、ロゼの華やかな果実味と美しく調和した。

プティフール|キャロットマドレーヌ&フロランタン

黒皿に白い布を敷き、その上にのった菱形のフロランタン2枚
菱形のフロランタン。キャラメリゼされたナッツが香ばしい
菊形の器にのった貝殻形のキャロットマドレーヌ
ふっくら焼き上げられたキャロットマドレーヌ
黒い釉薬のカップアンドソーサーに注がれた珈琲
珈琲または紅茶で、余韻をゆっくり味わう

器まで作品。セルジオ・ハーマンの「INKU」

料理を味わううちに気づいたのが、器の美しさだ。裏を返すと「INKU / SERAX」の刻印。この「INKU」は、シェフのセルジオ・ハーマン本人が、ベルギーのテーブルウェアブランドSeraxのためにデザインしたシリーズである。しのぎ(縞)の入った器や花のかたちの深皿など、一枚一枚に世界観が宿る。料理・器・アート・シャンパーニュ……。そのすべてがひとつの美意識で貫かれているのが、この店とこの夜の本質だったように思う。

器の裏側のINKU SERAXの刻印のアップ
器の裏には「INKU / SERAX」の刻印
LPロゴがパターン状に印刷されたパンの敷き紙
パンの下に敷かれた紙にもLPのロゴ。細部まで抜かりがない

【訪問メモ】

  • 虎ノ門ヒルズ駅直結(A1出口すぐ)。雨の日もほぼ濡れずにアクセスできる。
  • 今回は一夜限りのコラボイベントでの訪問。通常はランチ・ディナーのコース、アラカルト、カフェ利用が可能。
  • ペアリングはマグナム2種+プレステージ含む5種。シャンパーニュ好きにはたまらない構成だった。
  • 店内撮影の際は、他のお客さんが写り込まないよう配慮を。

こんな人におすすめ

  • 虎ノ門・虎ノ門ヒルズで特別な日のレストランを探している人
  • シャンパーニュのペアリングをじっくり楽しみたい人
  • ポメリー、とくにキュヴェ・ルイーズやアパナージュに興味がある人
  • 料理だけでなく、空間・器・アートまで含めた「体験」を味わいたい人
  • 記念日・デート・会食で外さない一軒を押さえておきたい人

店舗情報・アクセス

店名 ル・プリスティン東京(LE PRISTINE TOKYO)
住所 東京都港区虎ノ門2-6-4 ホテル虎ノ門ヒルズ 1F
アクセス 東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」直結(A1出口すぐ)/銀座線「虎ノ門駅」より徒歩約6分
ジャンル NEW ITALIAN(イタリアン/ヨーロッパ料理)
監修シェフ セルジオ・ハーマン(ミシュランスターシェフ)
エグゼクティブシェフ デニス・カイパース
営業時間 ランチ 12:00〜15:00/ディナー 18:00〜22:00(日曜ディナー休業)
支払い方法 各種キャッシュレス対応
公式サイト https://lepristinetokyo.com/
予約 一休.comレストランで予約する
備考 今回のポメリー アートコラボレーションディナーは2026年6月3日の一夜限り(29,700円税込+サービス料15%・定員60名)。20歳未満への酒類提供なし

▶ ル・プリスティン東京を予約する(一休.com)

※営業時間・メニュー・価格は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。(2026年6月訪問)

まとめ

料理、アート、シャンパーニュ。そのどれもが単体で完結せず、互いを引き立て合っていた一夜だった。虎ノ門ヒルズの「虎」を糊と金箔と砂の書に写し、ポメリーの青を重ねる。皿はシェフ自身がデザインしたINKU。発売3日後の新作から2008年のキュヴェ・ルイーズまでを、料理とともに味わう。

ル・プリスティン東京の掲げる「没入型ガストロノミー」という言葉の意味を、身をもって理解した夜である。特別な日の食事や、シャンパーニュのペアリングを楽しみたい方に、心からおすすめしたい一軒だ。

※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。飲酒運転は絶対にやめましょう。

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この記事を書いた人:らむこ

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レビュー歴10年以上、Googleレビューでは全国上位5%のレビュアーとして活動中。ブログやSNSでは、料理の味だけでなく、空間や人柄、ちょっとした気づきまで伝わるようなレポートを心がけています。
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