最近私の妹から、サプライズでワインのプレゼントが届いた。
誕生日でもなく、結婚記念日でもない。
それは何でもない日に送られてきたのである。
ワイン界の白雪姫、「CHALKY」
12本箱で届いたそのダンボールの中には8本のワインが入っていた。
その中でも一際目をひいたのが、このワインだ。
あらまぁなんて白いのかしら。
ワイン界の白雪姫とでも呼ぼうか。
そう、このワインは箱まで白い。
なんでこんなに白いのかと思ったら、なんと名前が「CHALKY」ということでなんとなく想像がつくわけだが、実際に調べてみると、「白亜(Chalk)」はシャンパーニュのミネラリーを感じさせる素であり、それをボトルの中に表現し、「記録する」(Chalk Up)という意味で名づけられたそうだ。
飲んでみるとやはり特徴的なのはミネラルだ。シャルドネ100%なのでいわゆるブラン・ド・ブランらしいシャープさがあるのだが、ここでミネラルさが映えてきて、かなりの複雑味がやってくる。さらに瓶内熟成を約7年もの間行っているというのだから、その厚みもプラスされてより美味い。
全体的に重厚感があるということではなく、キレと複雑味がほどよく絡み合い、かなりの繊細さを覚える。
個人的にはパーティよりも自分の家でじっくり飲んでしまいたくなるような。
ワインとゆっくり向き合いたくなってしまうような。
アンドレ・クルエ(ANDRE CLOUET)
(引用:https://www.vintners.co.jp/france/champagne/andre-clouet/)
このワインの作り手は、「アンドレ・クルエ(ANDRE CLOUET)」。
クルエ家の先祖は、かつてルイ16世やナポレオンの側近として仕え、ナポレオンから譲り受けた領地で葡萄栽培やワイン造りをスタートさせたそうだ。
2004年にはスウェーデンの王がクルエを気に入り、60歳の誕生日パーティーにもクルエのシャンパーニュが振舞われ、同パーティーに現当主のフランソワも招かれたという。また、スウェーデンのシャンパーニュ専門家であるリチャード・ジューラン氏の著書「4000シャンパーニュ」では「ボランジェのようなスタイルと品質に向かっている」評価され、日本でも「死ぬまでに飲みたい30本のシャンパン」という評論家の著書などで紹介されるような作り手だ。
ボランジェとの確執
実は「グラン・クリュ(Gurand Cru)」の表記が可能であるにも関わらず、そうしていないアンドレ・クルエのワインたち。
これには実は理由がある。
実はアンドレ・クルエはかつてボランジェから、「ワインのエチケットのデザインが似ているから変えなさい」、という話をされたそうだが、実はそれは全くの言いがかり。アンドレ・クルエ側が「少なくとも1911年からこのデザインであった」旨を伝えると、今度はボランジェ側が「だったらデザインは一切変えずにそのままにしろ」という不条理な要求を突き付けてきたのだ。
若き日の当主は、この要求にOKを出してしまったため、今でもデザインを一切変えられず、もちろん「グラン・クリュ」の表記もできず終いだというわけである。
チョーキー以外にもたくさんのシャンパーニュがあるアンドレ・クルエ。
その値段は決して安いものではないのだが、近年スーパーでも見かけるような2000円台のシャンパーニュを飲むよりよっぽど幸せを実感できるワインばかりなので、是非機会があれば死ぬ前に飲んでほしいと思う次第である。