近頃、パナソニックの電動歯ブラシやジェットウォッシャーなるものがテレビCMや電車の電子広告でこれでもか!と流れている。これらの歯科衛生グッズのブランドである「Doltz(ドルツ)」が、あっという間に知名度を上げたことは、皆さんご承知の事だろう。Amazonでの高評価レビューが目立つなか、その存在を気にする人々も多くなり、話題が話題を呼んでいる。
実は歯科関係にかかわる仕事もしている私。今回は、そんな私が実際に巷で話題のDoltzを試した感想のレポートを書こうと思う。しかし、その前に……せっかくこのような記事を紹介するのだから、歯にまつわる病気がどれだけ恐ろしいのか理解してもらいながら、読み進めてもらえると嬉しい。
無くなって一番後悔するのは歯
無くなったら後悔するのは?と聞かれたら、あなたは何と答えるだろうか。年代によって答えが変わりそうな質問だが、実はシニア世代に向けたアンケートでは、このような結果が出ている。
そう、「歯」である。髪の毛でも、体型でもなく、歯なのである。
なぜか?
その答えは明快だ、皆何が何やら分からぬままに、歯をなくしてしまっているから。
病気が進行しても痛みを感じないし、あっても最初は少し染みたりする程度。恐ろしさを感じにくい病気というのは、本当に罪深いものだ。これを放置すると、後々大変なことになるというのに。
歯周病の恐ろしさ
歯の病気は大きく分けて2種類
そもそも歯の病気というのが大別すると2種類あるということを、皆様はご存じだろうか?
まずは、学校の歯科検診で見かけたCの文字。かなりの確率で書かれた苦い思い出が私にもあるが……これがカリエス、いわゆる虫歯のことである。
虫歯を放置すると神経までたどり着き、場合によってはその神経さえも取り除く治療をする。ちなみにその神経の取り方は、ボルトのようなものでグリグリと……想像するだけで恐ろしい。。。
それでは、もうひとつの病気は?と聞かれると、特に若者なんかは答えられないのではないかと思う。「自分には関係ない」と思っているから。
先に伝えておこう、現代では成人の8割はかかっていると言われる病気だ。
ぺリオ、そう、歯周病に。
歯周病って?
あなた歯周病にかかってますよ、といわれてピンとこない。そもそも歯周病ってなに?という方。まずはこれを読んでほしい。
皮肉なことに、細菌から身体を守るための過剰な免疫反応から歯周病の始まりが訪れるのだ。歯磨きを怠ると歯の歯茎の溝(=歯周ポケット)がじわじわ広がり、菌がこれでもか!と骨を溶かしにかかる。
その結果、歯はぐらぐらになって最悪抜けてしまうし、溶けた骨も戻らない。
さらに……
そう、糖尿病や動脈硬化などの全身疾患にも関わるのだ。
ちなみに、私はこのインタビュー記事に載っている先生のセミナーへ参加したことがあるのだが、この人は口の中を見ただけで、全身のどの辺りがどう悪いか、見えてしまうらしい。そんなことが出来る先生は稀有だろうが、それほど口の中って、重要なのだ。
美味しいものを、美味しく食べたい
やはり歯科業界でも、歯に対する知識が少ない人が多いということは問題視されている。知識向上のため、歯科の待合室でビデオを流そう、冊子を作って渡そう、など取り組みをしている医院は沢山ある。
ただ、食に関わる業界にいた私は、医療の立場から訴えるより、食が好きな人に訴えた方が伝わると思っている。
だって、この世には美味しいものが溢れていて、美味しいものは美味しく食べたいと思うのが当たり前だもの。
歯がなくなるだけで、たちまち美味しくなくなるのだ。
病気も怖いけれど、食の楽しさがなくなるって、私にとっては寒気が収まらない出来事だ。
糖尿病もそうだが、今まで美味しいと思いながら食べていたものをたちまち全て断つということは、恐らく煙草を断つより辛いはず。ぜひ今一度、考えてみてほしい。
口臭の問題
これも、なかなかにナイーブな問題だ。「口臭専門」のタブレットやサプリ、ガムなどが売られているのを私もよく見かける。
これらも効果があることは確かなのだろうが、問題の根本の解決には至っていない。
目的がはっきりしたところで
さてさて、私がこんなにも熱く語ったので、少しは届いているといいのだが。少しは怖いと思っていただけたであろうか。痛みがないと、なかなか気づけないものだが、普段から歯の健康を気にするということは、本当に大事なのである。
ということで、冒頭の話に戻るわけである。私は大枚をはたいてDoltzを買った。果たしてこれは効果があるのかどうか……?
ドルツ電動歯ブラシ
私が幼い頃からすでに存在していた電動歯ブラシ。それから10数年もたてば、さぞ進化していると思っていたが、まさにその通りだった。
充電を終えて歯ブラシの電源を着けると、
「「「ミーーー(すごい細かい振動)」」」と鳴った。
恐る恐る歯にあててみると、ちょっと動かしただけで確かに汚れが落ちているのが分かる。っっ、すごい。
歯科衛生士が実践!「手磨きvsドルツ」で“スピード”と“汚れの落ち方”を比較【パナソニック公式】
毛が細かいということは、振動が激し過ぎて正直良く分からないが、少しの時間でしっかり汚れが落ちていることは確実にわかる。 個人的には世間で話題のジェットウォッシャーより、むしろこちらを推したい。これは、凄い。前の歯ブラシに戻れなくなってしまいそうだ。ワインやコーヒーのステインも何のその。
ドルツジェットウォッシャー
水圧で、歯周ポケットを洗い流すことができるという、ドルツジェットウォッシャー。歯磨きで取れない食べかすはもちろん、今まで溜まっていた悪いもの、血のかたまりが出てくるという声も少なくない。水をタンクに入れて、口の中をノズルでジャ―――っとしていると、まるで自分が歯医者にでもなったような感覚に陥る。強さが5段階に分かれているが、4から上にできる気がしない。それほど、水圧もしっかりしている。歯周ポケットにも届くという話だが、なるほど確かにこれなら汚れを取ることが出来るだろう。人気が出るのも分かる気がする。
ちなみに、もっとピンポイントで歯周ポケットのケアをしたいときは、ノズルがブラシになっているこちら。これぞ歯周ポケットを磨くための電動歯ブラシ。
ここまで自宅ケアできたら、もう言うことなしだろう。。。
結局のところ
自分で自分の身を守るではないが、ある程度の知識をつけた上で、自分の健康を保とうというのは、歯に関わらず持っておきたい意識であると思う。
医療サイドでも、やはり「予防型歯科」が大事だということを強く言っている。このような自宅ケアも、怠らずに居たいものだ。
(定期検診も忘れずに!)