右手にはワインを、左手にはビールを。

食の世界に魅せられて。美味しい料理やお酒が好きなアラサーです。 「食のエンターテイメント」を、皆さんと共有出来たら良いなと思います。

深海誠監督のアニメ映画作品の人気の理由について真面目に考察してみた

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8月、やっと梅雨明けし、全国的にかんかん照りの日々。皆様はいかがお過ごしだろうか。

梅雨の時期はなんとなく鬱々とした気持ちになったものだが、私はそんな時期にいつも観るアニメ映画・『言の葉の庭』という作品がある。

『言の葉の庭』といえば、『君の名は。』で一躍有名になった深海誠監督の作品であるが、放映当時は超満員ということもなく、むしろどの時間帯も席の一部は空いていたような印象である。

とはいえ、当時から根強くファンが存在し、大人向けのアニメ映画の作り手として深海誠監督は認識されていたわけだが、その人気の理由として挙げられるのは、リアルをそのまま映画に落とし込み、さらに幻想的な色味を加えた映像美であったり、自身の青春時代を思い起こさせるようなノスタルジックなストーリーだといえるだろう。

今回は、そんな彼の作品を色々な観点から考察をしてみようと考えた次第である。比較するのは、彼の代表作である『秒速5センチメートル』・『言の葉の庭』・『君の名は。』・『天気の子』の4作品。

深海誠監督作品の人気の秘密は一体どこにあるのか、これらの作品から読み解いていこうと思う。

※ちなみにストーリーはネタバレしているので気になる方はご注意。

 秒速5センチメートル

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『秒速5センチメートル』は、2007年に公開された3番目の作品で、キャッチコピーは「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。」。

単館上映ながら、半年ものロングラン上映がされており、『桜花抄』、『コスモナウト』、『秒速5センチメートル』というタイトルの短編3話で、主人公の幼少時代から大人時代までを描いている。

 タイトル名の秒速5センチメートルは桜の花びらが舞い落ちる速度を表しており、作中でも印象的なシーンが多い。

ストーリー

桜花抄(おうかしょう)

東京にある小学校に通う主人公の貴樹と明里はお互いの間に存在した特別な想いを抱きつつ、一緒の時間を過ごしていたが、小学校卒業を機に明里が栃木へ転校してしまう。中学に入学してから半年、明里から手紙が届いたのをきっかけに文通が始まったが、一年が経つ頃には貴樹が鹿児島の土地へ引っ越すことが決まる。

そうなる前に会いに行く約束を取り付け、二人は悪天候に見舞われながら、深夜にやっと落ち合うことが出来る。そうして雪の降る中、彼らは桜の樹の下でキスをして、小屋の中で寄り添って一晩を明かす。

翌朝、きっとこの先も大丈夫だと貴樹を励まし見送りをする明里。お互いに用意した手紙は渡されることなく電車は走り去っていった……。

 コスモナウト

鹿児島・種子島にて高校3年生の貴樹に片想いするクラスメイトの香苗。進路に悩んだり、サーフィンでスランプに陥ったりしている彼女であったが、波の上に立てたら貴樹に告白すると決め、ついにそのチャンスがやってくる。

しかしながら想いを告げようとした瞬間、貴樹が遠くの存在に思いを馳せ、香苗を見ていないことを実感してしまい、結局告白できずに泣き出してしまった。一生報われなくても好きだという想いを胸に、涙を流しながら眠りに就いた。

 

秒速5センチメートル

ついに社会人となった貴樹。高みを目指してもがきながら仕事に追われる日々。3年付き合っていた彼女には「1000回メールしても、心は1センチくらいしか近づけなかった」と伝えられ、彼女へ気持ちが向いていないような付き合いだったことを見透かされる。中学時代に明里と会った雪の夜以来ずっと存在を追い続けている貴樹。

やがて会社を辞めた彼は、ふと桜を見に思い出の踏切へ赴く。踏切を渡る瞬間、前方から一人の女性とすれ違い、お互い何かを感じ取る。渡り終えて振り返る二人だが、そこでちょうど電車が通り、踏切が開くころには彼女の姿はなかった。

貴樹は笑みを浮かべながら、決心したように歩き出した……。

ストーリーに対する所感

誰と深く結ばれることもなく、青春時代や20代を過ごした貴樹。

第1章の明里と仲良しな小学生時代には、幸せそうで甘酸っぱい初恋のシーンばかりで微笑ましく思ったものだが、中学生時代の淡く切ない別れから、第2章・第3章では高校生から大人になってもなお、明里との想い出をひきずっていたことが窺える。香苗も別れた彼女も、自分を見てもらえなくても好きだと思わせる魅力が貴樹にはあるのだろうが、当の本人は美しい幻想を見ている。

ラストシーンでやっとその魔法が解けて、長い間止まっていた時がやっと流れ出すわけなので、ある意味これは幸せに向かってやっと一歩歩み出すことが出来るハッピーエンドなのだが、なかなか初回でそれを解釈するのは難しいだろうし、10代にウケるかといったら否だろう。経験を重ねた大人がノスタルジックに浸ってしまうこと必至な物語だといえる。

言の葉の庭

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言の葉の庭は、2013年5月31日公開の5番目の作品で、「‘’愛‘’よりも昔、‘’孤悲‘’のものがたり」をキャッチコピーとして上映された。

「恋」ならぬ「孤悲」の物語とうたっているが、新海監督初の恋愛作品として有名である。

ストーリー

舞台は梅雨の靴職人を目指す主人公の高校生男子タカオは、雨の朝は決まって学校をサボり、日本庭園の東屋で靴のデザインを考え、スケッチを描いていた。

ある日朝から缶ビールを飲む謎めいた年上女性ユキノと出会い、約束もないままに雨の日だけの逢瀬を重ね、心を通わせていく。

そうしてタカオは、職場で居場所をなくしたユキノがもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願うようになり、彼女のために靴の製作を試みる。

そんな中梅雨は明け、逢わなくなった二人が再びすれ違ったのは学校。ユキノがタカオの通う高校の古文教師だったこと、生徒の嫌がらせで退職になったことを知り、首謀者に会いに行く。あえなく返り討ちにあったタカオだが、改めて庭園でユキノと会い、お互いが教師と生徒であることを伝えあう。

やがて辺りは土砂降りとなり、ユキノのマンションに行くことになる。濡れた服を乾かしたり、料理を作ったり、二人の時間をお互い心地よく思うものの、タカオがユキノに好意を伝えると、ユキノは地元に帰ること、お互いの立場があると諭す。その後部屋を出て行ってしまったタカオを必死で追いかけ、お互いの気持ちをぶつけ合うことになる。

冬になり、地元で再び教師となったユキノからの手紙がタカオの元に届く。完成した靴を手にしたタカオは庭園を訪れ、二人とも歩く練習をしていたのだと思い返し、もっと遠くまで歩けるようになったら、会いに行こうと決意をする・・・・・・。

ストーリーに対する所感

恋愛についての心理描写が細かく、万葉集の短歌 「鳴る神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか きみを留めむ」や、その返し歌である「鳴る神の 少し響みて 降らずとも 吾は留まらむ 妹し留めば」を使う巧みさは流石である。

自分の教えている学校の生徒だということを知りながらも、味覚障害をもつユキノがタカオの作る弁当に味を感じて喜んでいる描写や、靴職人を目指すタカオのために靴の専門書をプレゼントするなどの描写など、二人が徐々に惹かれ合う様子も細かく描かれている。そして、雨の降る中で、東屋の中で彼女の足に触れながらサイズを測るシーンはとても印象的だ。

二人は結ばれないながらも、タカオの「遠くまで歩けるようになったら、会いに行こう」という今後の展望を感じさせる終わり方で、『秒速5センチメートル』のラストシーンの貴樹の静かな笑みよりははるかに希望のあるラストである。

というか、学生と社会人という明らかな立場と年齢差のある2人なので、ラストとしてはむしろ結ばれてしまわない方が自然だし、とても良いラストだと個人的には思うのだが、若い世代が共感できるかといえばそれはまた別の話だろう。

 君の名は。

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君の名は。は、新海誠監督の6作目の映画で、2016年8月26日に公開された。この映画のメガヒットにより一気に注目を浴び、全国約300もの館で放映された大規模興行だった。世界30か国でも映画を公開、海外からも広く注目され数多くの賞を受賞している。

日本での歴代興行収入ランキングでは『千と千尋の神隠し』、『タイタニック』、『アナと雪の女王』に次ぐ第4位で、世界での歴代興行収入は日本アニメ映画だけならず、日本映画全体で第1位となっている。

ストーリー

東京に暮らす男子高校生の瀧は、ある朝目を覚ますと田舎の山奥に住む女子高生、三葉となって過ごす夢を見た。逆に三葉は瀧となり、お互いに不思議な夢だと思いつつもそれぞれの生活を過ごす。それからも度々入れ替わりが起こり、現実の誰かとお互いに替わっていることに気づき、次第に打ち解けていく。

それからある日突然入れ替わりがなくなったことを不審に思った瀧は、記憶を頼りに三葉の住む岐阜の糸守町へ向かう。ようやくたどり着いたその場所は、3年前に彗星のかけらが直撃し、町ごと消滅し、住民500人以上が死亡していたことが判明した。

瀧は以前の記憶で三葉が口噛み酒を奉納していたことを思い出し、ご神体へと向かう。実物を発見し、タイムラグでの入れ替わりが実際に起こっていたことを確信し、もう一度3年前の三葉に入れ替われることを願って口噛み酒を飲む。

隕石落下当日、三葉の身体で目覚めた瀧は、三葉の友人と共に住人を非難させようと企てるが、順調には進まなかった。町の要人である父親を説得するには三葉本人である必要があると感じた瀧は、再度当時のご神体の場所へ向かう。その道中、3年前に東京まで三葉が瀧に会いに来たことを思い出し、当時はタイムラグがあり気づけなかったが、三葉の想いを知り涙を流す瀧。

その一方、瀧の身体で目覚めた三葉は、隕石が落ちた後の町の無残な様子を見る。3年の時間差がある二人だったが、糸守でのカタワレ時(黄昏)が訪れ、時を超えた二人が初めて直接会話を交わす。

カタワレ時が終わろうという頃、目が覚めても忘れないよう、瀧がマジックで三葉の手に文字を書く。しかし三葉が書こうとしたその前に、元の世界に戻されてしまう。急いで住民を助けようと走る三葉。心が折れそうになりながら掌を開くと、「すきだ」の文字が……。心が励まされた三葉は町役場まで力強く走り出した。

その後、彗星は予定通り落下するが、住民が避難訓練をしており死者は一人も出なかったという未来に変わる。そうしてさらに数年が経ち、就活を始める瀧。三葉も東京で暮らすようになる。もはや入れ替わりのことは忘れていたが、なんとなく誰かを探している感覚だけが残っていた。

ある日2つの電車の車窓からお互いを見つけた二人は、停車駅を駆け下り住宅地の神社の階段でついに再会。涙を流しながらお互いの名前を尋ねる……。

ストーリーに対する所感

『秒速5センチメートル』や『言の葉の庭』と明らかに異なり、瀧と三葉が入れ替わりを体験し、時空を超え、人々を救い、最後にまた出会うというドラマチックな展開がてんこ盛りなストーリーになっている。リアリティではなくSF要素を盛り込んだことや、ヒロインらを死から救うヒーロー。夢も希望も満載である。

だからなのか、前作までのリアリティ感とノスタルジックを期待していた私は、初めてこの映画を観た時、とにかく眩しいと感じてしまった。

恐らくこの感触を覚えた以前からのファンも少なくないだろうが、何回か見返していくうちに一生懸命生きる若者のエネルギッシュな様や、まだまだ強く生きようという勇気などが自分の中に残るようになった。

昔からのファンこそ、ぜひ見返してほしいと思う次第である。

天気の子

天気の子は、新海誠監督による7作目のアニメーション映画で、前作の『君の名は。』から3年ぶりとなる作品。2019年7月19日に「これは、僕と彼女だけが知っている、世界の秘密についての物語」をキャッチコピーとして公開され、東宝配給作品史上最大級である359館448スクリーンという規模で、上映された。

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ストーリー

島で暮らす高校1年生の帆高はある日家出しフェリーで東京にやって来たが、所持金がないためアルバイトを探すことに。
フェリーで出会ったライターの圭介の元を訪ね、彼の姪である夏美がいる編集プロダクションで働き始める。

その夏の関東地方は、記録的な雨の日が続いており、そんな中で一時的な晴天を呼ぶ「100%の晴れ女」の都市伝説が流れていた。帆高は正真正銘の「晴れ女」陽菜という少女と出会い、彼女の能力を目の当たりにした。
帆高は彼女の弟・凪と暮らす陽菜が経済的に困っている様子から、晴れを届ける商売を提案したが、依頼が殺到したため一時休止に。

捜索願を出されている上、偶然拳銃の発砲事件に関わった帆高や、未成年二人で住む陽菜らは警察や児童相談所に追われる身に。
逃避行中に異常気象が進み、夏でありながら雪が降っていた。
ホテルで一夜を過ごした3人だったが、陽菜の身体が晴れの能力の代償として、半透明になり、夜が明ける前に陽菜の身体は消失してしまう。

翌朝凪は児童相談所へ、帆高は警察署へと連れられてしまうものの、それぞれ脱走を試み、陽菜が「晴れ女」の能力を獲得した代々木の廃ビルへ向かった。

警察の追跡の中、夏美、圭介、凪の助けもあり、なんとか廃ビル屋上の神社にたどり着いた帆高は鳥居をくぐり、積乱雲の上に囚われた陽菜を救い出すことに成功。しかし、天気の巫女は人柱だったため、2人が神社の場所に戻されると再び雨雲が東京を覆ってしまう。

帆高は再逮捕され、高校卒業までの期間保護観察処分を受け、島に戻された。
陽菜救出後に降った雨は、2年半降りやまずに東京の荒川や、江戸川下流域の広範囲を水没させた。
月日は流れ2024年の春、帆高は大学進学を機に東京へ渡り、陽菜と再会を果たすことになる……。

ストーリーに対する所感

君の名は。のメガヒットに続く作品ということだけあり、世間の期待値が非常に高かったのは言うまでもない。こちらも「晴れ女」の能力や人柱の伝説などSF要素がちりばめられているが、さすが新海さんの作品といったところで空の描写などが非常に美しいのも見どころだ。

親がいない主人公らが一生懸命生きる術を探すというひたむきさが伝わり、彼らなりに出した選択が正しいのか?ということを考えさせられる作品だ。

「晴れ女」という特殊な能力を使用したことの代償として、人柱として異常気象を抑えるために据えられるべきだったのか、本作のように日本の一部が水没してでも救われて二人が再会したことを喜ぶべきか。

子供たちのラブストーリーを通して、何を大事にして生きるか?それを決めるのは自分自身というメッセージが強く伝わる作品だった。

4作品の比較と考察

 ということで、以上紹介した4作品をいくつかの項目に分けて表にしてみた。

 

・観客動員数

・推定興行収入

・主題歌

・主人公とヒロインが結ばれるか

・出演者

 ・受賞歴

 

等をまとめているので、興味があればぜひ見比べてみてほしい。

人気の秘密

まず人気の定義だが、ここでは観客動員数と推定興行収入を参考にしていきたいと思う。

4作品を比較すると、『秒速5センチメートル』や『言の葉の庭』の推定興行収入が約1億円規模だったことに対し、『君の名は。』や『天気の子』は100億円以上で観客動員数も1000万人以上となっていて、海外でも上映されている作品だ。

やはり起点になったのは『君の名は。』からだろう。

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ストーリー内容が大人向けから変化していったことも理由の一因だろうが、『君の名は。』からは上映時間が倍以上になっており、中身にボリュームを持たせてストーリー性が高まった仕上がりになっていること、全年齢にも好まれやすいハッピーエンディング、そして主題歌も若者に人気のあるRADWIMPSを起用していることなどのことから観客の対象年齢も広まったことがうかがえる。

また、出演者は芸能人が起用され、話題性も高い。アニメーション映画に興味を抱かなかった層にもアプローチできている。そして、海外の賞も受賞しており、海外にも受け入れられるストーリーだったことが分かる。日本人特有のちょっとした行間を読まなくとも分かるシンプルさも、人気の理由だろう。

 

ということで、考察はやけにあっさりしたものになってしまったが、この辺りで締めさせていただこう。

新海誠監督の作品の一ファンとして、やはり人気は嬉しいものだ。次の作品も楽しみにしていきたい。

 

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