右手にはワインを、左手にはビールを。

美味しいの裏側には、作り手のストーリーがある。Googleレビュー上位5%の酒好きが綴る食と酒のノンフィクション。

アサヒビールにサイバー攻撃。出荷停止の影響と今後どうなるのか?代替ビールや株価の動きも徹底考察!

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アサヒショック考察:サイバー攻撃で広がる影響と晩酌・外食・株価への波紋

9月の終わり、いつものようにビール売り場を眺めながら「そろそろマルエフ補充しとくか」と考えていた矢先、目に飛び込んできたのが 「アサヒグループ、サイバー攻撃でシステム障害」というニュースだった。

まさか、あのアサヒが――。

しかもただの障害じゃなく、ランサムウェアによる攻撃で、出荷や受注が止まっているという。これはただごとじゃない。冷蔵庫に残っていたスーパードライを見て、「逆に、残しておいて良かったのかもしれない」なんて妙な安心感すら湧いてしまった。

普段から「右手にワイン、左手にビール」を掲げて晩酌を楽しむ者として、今回の件は他人事ではない。

この記事では、以下のような観点から「アサヒショック」の影響とこれからを考察していきたい。

  • 今回のサイバー攻撃、実際どれくらいヤバいのか?
  • 我々の晩酌に影響は出るのか?
  • 飲食店や酒屋へのダメージは?
  • 株価の動きから見える市場の本音とは?
  • アサヒ難民が今後流れ込むのは、どのビールメーカーか?

酒を愛する一人の視点から、晩酌という日常を守るため、今何が起きているのかについて少し真面目に考察した記事をしたためた。

【第1章】アサヒグループに起きたサイバー攻撃とは?

アサヒグループを襲ったランサムウェア攻撃:企業インフラの脆弱性が浮き彫りに

アサヒグループを襲った“ランサムウェア”によるサイバー攻撃――企業インフラの脆弱性が浮き彫りに

アサヒグループホールディングスは、2025年9月29日(月)にサイバー攻撃によるシステム障害を確認。

10月3日(金)の「第2報」で、攻撃がランサムウェアによるものであること、外部からの不正なデータ転送の痕跡があったことを公表した。

国内グループ各社では受注・出荷を停止し、現在は手作業で一部受注・出荷を進めている。外部メールの受信は停止中。

コールセンターは10/6週の一部再開を目指すとしている(調査・復旧は継続中)。

この攻撃により、以下のような深刻な影響が発生している。

  • 国内グループ各社の受注・出荷業務が停止
  • お客様相談室などのコールセンター業務も停止
  • メール受信不可となり、社外との連絡が断絶状態
  • 一部の重要データで「不正なデータ転送の痕跡」が確認された(調査中)

現場では現在、システムの遮断措置を講じてさらなる被害拡大を防止中とのこと。

とはいえ、10月4日時点でもシステムは復旧しておらず、現場は「人海戦術」での出荷作業に移行中だという。

これはまさに「アナログ回帰」

大手メーカーがこうした対応を余儀なくされていること自体が、今回の問題の深刻さを物語っている。

攻撃を受けたアサヒはグループ全体で年間2兆円を超える売上規模を誇る日本の大手飲料メーカー。

その中核企業であるアサヒビールが動かなくなるということは、我々の日常にまで静かに波紋を広げていくことを意味している。

なお、障害の範囲は日本国内に限定されており、復旧時期は未定とされている(調査・復旧は継続中)。

※参考: アサヒグループHD|サイバー攻撃によるシステム障害発生について(第2報)|2025年10月3日発表

【第2章】消費者への影響は?「晩酌どうなる問題」

スーパードライやマルエフが消える?ビール棚に広がる“品薄”の不安

スーパードライやマルエフが消える?ビール棚に広がる“品薄”の不安

スーパードライやマルエフが消える?ビール棚に広がる“品薄”の不安

「アサヒ出荷停止」の一報が出たあとにSNSで見かけたのは、「スーパードライが飲めなくなるの?」「マルエフはまだ買えるの?」といった、率直な声だ。

公式発表では「手作業による一部出荷は継続中」とされているが、復旧の時期が明らかになってない以上、今後スーパーやコンビニなどでも品薄になる可能性が考えられる。

コンビニPB商品にも波及

セブン‐イレブンは10月3日付のお知らせで、PB「セブンプレミアム」の酒類の一部品薄〜欠品が想定されると告知し、クリアクーラー各種などの対象例を明示した。

ファミリーマートも10月2日付のお知らせで、PB「ファミマル」飲料の一部品薄〜欠品が想定と告知(紅茶・ルイボスティー等の商品例を列挙)。

加えて主要報道では、ローソン代替商品の準備を進めるなどの影響が報じられている。

※参考: セブン‐イレブン|当社プライベートブランド商品への影響について(2025年10月3日)
※参考: ファミリーマート|当社プライベートブランド商品への影響について(2025年10月2日)
※参考: 時事通信|コンビニで入荷停止 卸・飲食店で銘柄切り替えも(2025年10月3日)

代替商品を準備する会社もあるくらいなので、本件の影響力は少なくないと言えるだろう。

【第3章】飲食店や小売の現場では何が起きている?

仕入れが止まった…現場では“いつものビールが出せない”という悩みも

仕入れが止まった…現場では“いつものビールが出せない”という悩みも

外食チェーンや小売現場では在庫薄〜銘柄切替が進行。

丸源ラーメン/木曽路などで、在庫が尽き次第他社ビールへ切替する動きが出ており、納品遅延・欠品リスクを各社が周知している。外食・小売現場での在庫薄/銘柄切替代替商品の準備は、主要報道でも相次いで確認できる。

仕入れが止まった…現場では“いつものビールが出せない”という悩みも

家庭だけではない。今回のサイバー攻撃の影響は、飲食店や酒販業者の現場にも確実に波及している。大手チェーンを中心に、「アサヒの代わりをどうするか」という選択を迫られているのだ。

居酒屋・ラーメン店で“緊急銘柄切り替え”

産経新聞(2025年10月3日報道)によれば、全国に約230店舗を展開する丸源ラーメンでは、アサヒからの生ビールや瓶ビールが入荷せず、在庫が終了次第、他社製品への切り替えを進めている。

同じく木曽路でも、「生ビールを瓶ビールに切り替える」「他社銘柄に置き換える」など柔軟な対応を余儀なくされている。

さらに時事通信の報道には、回転寿司チェーンのくら寿司でアルコール類が一部品薄となっており、在庫が尽きた場合は「他社へ切り替えず売り切れ対応」とする方針が示された。

飲食店にとってビールは単なるドリンクではなく「看板商品」。常連客が「いつものアサヒ」を求めて来店することも多く、銘柄切り替えは売上や集客に直結する重大な判断である。

酒販業者も“人海戦術”に

酒類を卸す業者にも混乱は広がっている。時事通信によれば、ある大手酒類卸はウイスキーなどで他社の代替製品を納入する方針を明らかにしており、各社が取引先に応じた供給調整に追われている。最新のITシステムが突如使えなくなり、現場は完全に“人海戦術”に逆戻りした格好だ。

※参考: 時事通信|コンビニで入荷停止 卸・飲食店で銘柄切り替えも(2025年10月3日)
※参考: 産経新聞|アサヒのサイバー攻撃被害、コンビニや外食に影響広がる(2025年10月3日)

【第4章】アサヒは今後どう動く?再発防止と業界全体の波紋

再発防止に向けた緊急会議:企業のサイバーセキュリティ対策は待ったなし

再発防止に向けた緊急会議――企業のセキュリティ対策は待ったなし

サイバー攻撃を受けたアサヒグループは、現在もシステム障害の復旧に向けて対応を続けている。

2025年10月3日(金)に発表された第2報によると、攻撃はランサムウェアによるものであり、さらに外部からの不正なデータ転送の痕跡が確認されたという。被害範囲は現在も調査中で、社外への影響確認が続いている。

緊急事態対策本部の設置と外部連携

9月29日(月)の障害発覚直後から、アサヒは社内に緊急対策本部を設置。外部のセキュリティ専門家とも連携し、被害拡大の防止と復旧作業を並行して進めている。

現時点で発表されている主な対応は以下の通り:

  • システムの一部を完全遮断し、被害拡大を防止
  • 受注・出荷業務を手作業で一部再開
  • 外部からのメール受信を停止中
  • お客様相談室などのコールセンターは10/6週の再開を予定
  • 外部への不正なデータ転送の痕跡を確認し、現在詳細を調査中

この動きからもわかる通り、現場では依然としてアナログ対応に頼らざるを得ない状況が続いている。

「セキュリティガバナンスの甘さ」が露呈した?

今回の件を受けて、SNSや業界内ではアサヒだけでなく、食品メーカー全体のサイバーセキュリティ体制への関心が急速に高まっている。

ランサムウェア被害はどの企業でも起こり得るものだが、アサヒのような社会インフラに近い大企業が標的となったことで、今後はセキュリティガバナンス=経営リスクと認識される時代に突入したといえる。

他の食品メーカーや小売業界も戦々恐々

今回の「アサヒショック」を受け、キリン、サントリー、サッポロといった同業他社をはじめ、明治・日清・森永などの食品メーカー、さらにはPB商品を委託しているコンビニやスーパーでも、サイバー攻撃への警戒が一気に高まっている。

特に、「委託先のセキュリティまで含めたリスク管理」が求められるようになり、これまでの「自社だけ守ればいい」体制は限界を迎えつつある。

「アサヒショック」が食品業界の転換点になるか?

ビール1本、サイダー1本が当たり前に並ぶ日常。その裏には、数万人規模の社員と、精密に連携したIT・物流システムが存在する。

この事件は、その「当たり前」がいかに脆く、デジタル技術に依存しているかを浮き彫りにした。

今後の課題は、単なる復旧ではなく、業界全体でのセキュリティ意識の再構築。 「安心して飲める日常」を守るためには、企業の体力やブランド力だけでなく、サイバー耐性が問われる時代に入ったのかもしれない。

※参考: アサヒグループHD|サイバー攻撃によるシステム障害発生について(第2報)|2025年10月3日発表

【第5章】アサヒ製品が手に入らないとき、何を飲む?

クラフトビールや他社製品で“代替晩酌”を楽しむ選択肢

クラフトビールや他社製品で“代替晩酌”を楽しむ選択肢も

サイバー攻撃の影響で、スーパードライやマルエフといった定番商品がしばらくは手に入りにくくなりそうな中、「代わりに何を飲もう?」と思う方も少なくはないだろう。

私は大手メーカーの中ならサッポロビール派だが、他メーカーのビールを飲むことも少なくない。

ここでは、アサヒ難民のために「味」「キレ」「価格帯」などを軸に、国産・輸入・ノンアルそれぞれのおすすめを紹介する。

スーパードライ派におすすめの代替ビール

商品名 特徴 おすすめポイント
キリン 一番搾り 麦のコクとキレのバランスが良い マルエフ寄りの層にも人気。どこでも買える安心感
サッポロ 黒ラベル キレと苦味のバランス型 「今日は黒ラベルでもアリかも」と思わせる万能タイプ
サントリー 金麦〈ザ・ラガー〉 価格抑えめ、ドライ派にもフィット 普段飲みとしてコスパ◎な一杯
プレミアム・モルツ 華やかな香りと上品な泡 気分転換したい派に。高級感あり

ノンアル派の代替案

商品名 特徴 コメント
キリン グリーンズフリー 爽快系。苦味もある ドライゼロからの乗り換えにおすすめ
サントリー オールフリー ややライトな飲み口 クセがなく、料理に合わせやすい
龍馬1865 クラフト系ノンアル こだわり派向け。味に深みあり

試してみたい「輸入ビール」も

商品名 特徴
バドワイザー アメリカ 軽快で飲みやすい。スーパードライ派に◎
ハイネケン オランダ ドライ&フルーティ。クセが少なく飲みやすい
コロナ・エキストラ メキシコ レモン・ライムで爽快感UP。軽めのラガー
青島ビール(チンタオ) 中国 意外にまろやか。マルエフ派にもハマる
スタロプラメン チェコ 香り豊かでコク深い。クラフト派にも◎

「いつもの味」が手に入らないのは確かに不安だ。

ただこの機会に、新しい一本と出会えるかもしれない。

“浮気”じゃなく、“出会い直し”として、今日の一杯を楽しんでみてはいかがだろうか。

【第6章】市場はこの事件をどう見た?――アサヒと競合他社の株価推移

アサヒHD株価に影響も:サイバー攻撃が与える市場インパクト

アサヒHD株価に影響も…サイバー攻撃が与える市場インパクトとは

サイバー攻撃の影響で商品供給が一部止まる中、株式市場はどう反応したのか?

ここでは、2025年9月27日(金)〜10月4日(土)時点での主要飲料メーカーの株価の動きを比較し、市場の視点を読み解いていく。

アサヒの株価は“やや下落”…だが暴落ではない

直近の終値(東証、2025年10月3日(金)):1,709.5円(前日比 -1.27%)。この数日で数%の下落にとどまり、現時点で市場は「短期的障害」として様子見が中心。

床(下値メド)

  • 第1の下値メド:1,700円前後(心理的節目+直近安値帯)。
  • 次の下値メド:1,560円台(52週安値レンジ)。このゾーンを明確に割れない限り、テクニカルには「大崩れではない」評価が妥当。

※アサヒ(2502)は2024年の1→3株式分割後スケールで表示。指標比較の際は分割影響に留意。

補足:外食・小売への影響は続報次第で見通しが変わるため、復旧スピード不正転送データの範囲が当面の注目材料。

▶ アサヒグループHDの株価推移を見る(Yahoo!ファイナンス)

他社の株価はどうだったか?

企業名(証券コード) 10/3終値 前日比 騰落率 参考リンク
アサヒグループHD(2502) 1,709.5円 −22.0円 −1.27% 株価チャート
キリンHD(2503) 2,064.0円 +12.0円 +0.58% 株価チャート
サントリー食品インターナショナル(2587) 4,180.0円 +40.0円 +0.97% 株価チャート
サッポロHD(2501) 3,638.0円 +8.0円 +0.22% 株価チャート

いずれの企業も10月3日時点では大きな変動は見られず、サイバー攻撃の影響は現段階ではアサヒ単体にとどまっている。

とはいえ、今後の注目点は次の2つだ。

  1. 復旧スピード —— システムの正常化が年内に進むかどうか
  2. 不正転送データの範囲 —— 顧客・取引先情報が含まれるか否か

今後の注目ポイント:復旧のスピードと情報漏えいの範囲

現時点では、株価への影響は限定的。だが今後は以下の2点が注目される:

  1. システム復旧のスピード —— 年内に正常化が進めば、株価は安定へ。長期化すれば「経営リスク」と見なされる可能性も。
  2. 情報漏えいの範囲と中身 —— 顧客や取引先のデータが含まれている場合、信用リスクが顕在化し、株価にも影響を及ぼす。

消費者にとっての“見えないリスク”

短期的には株価は大きく動いていないが、消費者の信頼感、安心感といった「目に見えない価値」が揺らいでいる。

「また買いたいと思えるか?」

「この先も安心して選べるか?」

アサヒのブランドは、今まさにその“信頼”を試されているのかもしれない。

次章では、こうした全体の流れを総まとめしながら、今後の教訓と展望について考察する。

【第7章】これは“アサヒだけの問題”なのか?

PB商品の裏側にも広がる波紋:アサヒ問題が映す業界の盲点

PB商品の裏側にも広がる波紋――アサヒ問題が映す業界の盲点

今回のサイバー攻撃は、一見すると「一企業への攻撃」に見えるかもしれない。

だがその波紋は、私たち消費者、取引先、同業他社、小売、外食、そして社会全体に広がっている。

コンビニにアサヒ製品がない。

スーパーでPB飲料が欠品。

居酒屋で「黒ラベル」に変わった。

仮にこんな未来があったとしても、どれも一見、小さな変化に見える。

しかしその背後には、“いつも通りの生活”を支えていた巨大なITと物流の網がある。

食品も飲料も「ITインフラの上にある」

今回、最も衝撃的だったのは、「ビールの出荷ができなくなるのか?」という素朴な驚きだった。

  • 受注も出荷も、サーバーが止まれば止まる
  • FAXでのやり取りに戻るしかない
  • 手作業で注文管理をせざるを得ない

こうした“デジタルからの転落”は、アサヒだけでなく、あらゆる大企業で起こり得る話だ。

もはや「自社だけ守ればいい時代」ではない

PB商品を製造委託しているファミリーマートやセブン‐イレブンも、アサヒの被害によって欠品を出している。

つまり、委託元(発注側)であってもリスクは自社に跳ね返る

これからの日本企業は、以下の2つを考え直す必要があるだろう:

  • サプライチェーン全体でのセキュリティ対策
  • アナログ時代からの脱却と、緊急時の“デジタル復元力”

消費者も「他人事」ではいられない

サイバー攻撃は、経営だけでなく消費生活にも影響する時代に入った。

“選べない不便さ”や、“値段が跳ね上がる不安”は、もはや特定企業の問題ではなく、社会的インフラの問題だ。

  • 何が「買える」か
  • 何が「信頼できる」か

この問いは、これからもっと大きくなる。

最後に:「いつものビール」が戻る日まで

今回の一件が収束すれば、またスーパードライやマルエフは店頭に戻ってくるだろう。
でも、「いつもの味」は、“何かの犠牲の上”にあったという事実を、今回私たちは一度知ってしまった。

“飲めるかどうか”だけじゃない。
「支える仕組みは、どこまで安全か?」を問う時代が、もう始まっているのかもしれない。

※本記事は 2025年10月4日 12:00 JST時点の公表情報・報道に基づきます。
参考:アサヒグループHD 第2報(2025年10月3日)

 

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食いしん坊ライター らむこ

この記事を書いた人:らむこ

おいしいものと人の温かさを探して、あちこち食べ歩いています。
レビュー歴10年以上、Googleレビューでは全国上位5%のレビュアーとして活動中。ブログやSNSでは、料理の味だけでなく、空間や人柄、ちょっとした気づきまで伝わるようなレポートを心がけています。
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