皆さんは、レトルトカレーを食べることはあるだろうか?
私は、夕食を作るのが面倒な時など、ついついレトルトを使って作ることがある。
ただ、、、レトルトはレトルトでも、なんと湯煎しないレトルトがあることをご存じだろうか?
今回は、友人から陣中お見舞いで頂いた、とあるレトルトカレーの話をしていきたいと思う。
自由軒を知らなかった私
友人から、陣中見舞いとしてこちらのカレーを頂いた私。
そこには「名物カレー」の文字が。どうやら、大阪の難波にあるお店のカレーらしいので、せっかくだから少し調べてみることに。
すると、この自由軒というお店は、明治43年に大阪初の西洋料理店としてオープンされたらしいことが分かった。
Rettyでも、「大阪が誇るカレーの名店」として紹介されている。店内は常に大賑わいらしく、生卵の乗ったドライカレーが名物で、さらにお好みでソースをかけるというのが特徴のようだ。
口コミで印象的だったのは、「遠くからこの名物カレーを食べるためだけにはるばる来た!」、というものと、明治時代からやっている、とても長いお店なのにも関わらず、「昔から変わらない味が良い」というもの。
俄然気になってきた。
ほうほうほう、うまそうやな。
あれ、これ湯煎じゃないぞ?
やる気も出てきたところで、早速昼食として作ってみることに。先ほどのパッケージをもう一度確認する。
すると、、、あら。。。
どうやら湯煎で作るものではないようだ。
作り方はこうだ。
①名物カレーベースをテフロンパンに入れて煮立てる。
②そこに240~250gの白ご飯を加える。
③とろ火で、焦げ付かないよう、木べら等で混ぜながら、しっとり1つにまとまれば出来上がり!
なるほど、しっかり煮立てる必要があるのか。これ気づかないで湯煎した人いるんじゃない?なんて思いながら、手順通りに作っていく。
カレーベースは「ベース」というだけあり、ルーとしてはかなり少ない印象。そして、少し多めの250g位の白米を投入。いくらドライカレーだといっても、これでルー足りるの!?と最初は思ったが、混ぜていけば混ぜていくほど、ちょうど良い色味に変化していったのである。
良いにおい……!!!
かなりスパイシーな味わいだろうことが分かる香りだ。辛党な私には期待が膨らむ。
そして、ご飯を混ぜ終わり、生卵を真ん中に落とす。
これで、ついに、、、完成である。
実食してみると、想像通り、かなりドライカレー自体は辛い。生卵を崩して食べると、なんだか、懐かしい味がする。この感想は、私の中で、かなり面白いものだった。このカレーを食べたことがないのに、懐かしいと感じたからだ。
なぜ、そんな印象を受けるのだろう?
私はそもそも平成生まれなので、こういう表現が正しいのかわからないが、いい意味で、昭和っぽい。昔の喫茶店で出てくるような、安心する味というのだろうか。家庭の味とも違う、プロのそれなのだが、とにかく庶民的なホッとする味。
調べてみると、このレトルトを作るのにはかなり苦労したようだ。
このカレーは門外不出で、親子代々にわたって作られてきた、保存料も着色料も不使用の、一流の料理人の手によってつくられるもの。ただ、多くのお客さんの希望により、長年にわたって研究開発したという。
これが出来上がったのは2007年だそうだ。
明治時代の味が、今ここに出来上がった。
そう考えると、胸が熱くなるのを感じた。
ウスターソースをかけてみると……
さらに、これにお好みで四代目ウスターソースをかけてみても良いらしい。
早速かけて食べてみると、かなり味の印象が変わった。
一風変わった濃い旨味が加わることで、食がさらに進む。半分くらい食べ進めてからこのウスターソースを使ったので、味の変化は歴然だった。個人的にはこのソースをかけた方が数倍美味い。
一代目が作り上げたカレーを、もっとお客さんに楽しんでもらうために考えられた、この四代目のソース。それが美味しいというのだから、これまた、ムネアツな展開なのである。代々伝わる昔の味と今の創意工夫の融合だ。
純粋に、美味しいと思った。
レトルトカレーなのに感慨深さを感じる
ということで、この自由軒名物カレーについて、最初は「レトルトなのに湯煎しないの!?」という感想だったのが、代々伝わる創意工夫の結晶ということを知り、さらにそれが懐かしい味で、美味しかった。
レトルトなのに、感慨深さまで感じさせるこのカレー。
とても面白い体験だった。友人には、改めて礼を申し上げたい。