「ワニ?ヒグマ?え、ランチに馬肉丼!?」
そんな驚きとともにふらりと入ったレストランが、思わぬ“ジビエ天国”だったとしたら――。
今回訪れたのは、国分寺の名店「ヘルマーズキッチン」。ジビエ好きにはたまらない、肉料理とワインを堪能できる隠れ家レストラン。
ランチでの出会いに心を撃ち抜かれ、2日後には妹を引き連れて再訪。2人で11品+ワイン2本という豪快な食べ歩きをしてきた。
珍しい肉料理の数々と、その魅力を余すところなくご紹介!
国分寺「ヘルマーズキッチン」ってどんな店?
JR中央線・国分寺駅から徒歩5分。赤を基調とした外観が目印の「ヘルマーズキッチン」は、2007年創業の個性派ダイニングバーだ。
昼はお手頃価格のランチメニューを、夜はワインとともにジビエ料理を楽しめるレストランとして、地元でじわじわと人気を集めている。
特筆すべきはその取り扱い肉のラインナップ。
- ヒグマ(北海道・函館)
- 鹿・猪(北海道・九州・兵庫など)
- カンガルー・ラクダ・ワニ(オーストラリア・タイ)
- ダチョウ・エミュー(鹿児島・佐賀)
- 馬(カナダ・ポーランド・ウルグアイ)
- カエル・スズメ・マンボウまで!
……と、まさに肉のワンダーランド!
中でもヒグマのローストやハンバーグは、その希少性と味わいからファンも多く、入荷は不定期&数量限定。最新情報はお店のInstagram(@tapitapi_kokubunji)やLINEで確認できる。
また、夜のコース料理は2,000円台から用意されており、ジビエ入りのコースでも3,000円〜と非常に良心的な価格設定。飲み放題付きコースやテイクアウトのお弁当・オードブルも対応しているとのこと。
さらに、店頭ではタピオカドリンクのテイクアウトも人気。2007年から販売を続けている、実は“国分寺のタピ元祖”的存在でもある。
肉好き、変わり種グルメ好き、お酒に合う肴を求める人……。
このお店を知らないのは、正直もったいない!
ランチで発見!ジビエの扉が開いた日
外観はカフェ風?だけど中に広がる異世界感
先程書いたように、一度目の来訪はランチ利用だった。
中に入ると、温かみのある内装。アジアンテイストなのかな?と思いきや……。
サボテンがあちこちにあり、ウエスタン風味を感じたりと、なかなか面白い。
「ラクダ!?クロコダイル!?」目を疑うブラックボード
ふとブラックボードを見てぱっと目に入ってきたのは、「ラクダ」と「クロコダイル」の文字。
ん?ん?
普通のレストランではおよそ見ない文字列である。
おや?おや?と思い、本日のランチメニューに目を落とすと、
牛肉のステーキ。
鹿肉のステーキ。
鴨肉ローストとマグロのムニエル。
馬肉丼。
などなど……。
おや?おや?これはもしや???
と見回すと、案の定、こちらでは色々な肉料理を提供している料理店だということに気づく。
ワインの種類も豊富なうえ、ボトルでも2000円~といったようなお手頃さ。
その時点で、すでに夜に再訪したいとうずうずしていた私だが、まずはランチである。
悩みに悩んで…鴨&マグロのWメインを実食
どのメニューも気になってしまう私。
なんてったって、
牛肉のステーキ。
鹿肉のステーキ。
鴨肉ローストとマグロのムニエル。
馬肉丼。
なのである。
しかも、どれもライス付きで850~1300円というちょうど良い値段だ。
馬肉が大好きな私なので、馬肉丼を頼もうかとも思ったのだが、鹿肉も面白そう。いやいやここは敢えての牛肉で味を確かめてみるか?
と色々な考えが巡る中、最終的に私が選んだのは、鴨肉ステーキとマグロのムニエル。
赤のグラスワインをオーダーし、ワクワクしながら料理を待っていると、早速料理がやってきた。
ややや、美味そうな気配しかしないではないか。
サラダを挟んでセンターから分かれた鴨とマグロ……!!!
それぞれにかかっているソースがなんとも食欲をそそる。
早速口に運ぶと幸せがやってきた。
これぞ口福である。
とてもジューシーな鴨肉に、絶妙なソースの味わい。
もう一口目からこの店のファンになりそうなほどの美味さ。
鴨肉といえば、普段ご飯を合わせることはあまりなく、つまみとして食べるばかりだったのだが、初めてご飯と一緒に食べてみると、とても合うことに気づく。
これが面白いんだよ。
約30年生きてきて初めて気づいたことが未だに沢山あるのだが、こういうふとした瞬間にそれを感じつつ、思わず笑みがこぼれてしまう。
傍から見たら完全に変なやつである。
さておき、次にマグロを食べてみる。こちらも安定の美味さだったのだが、敢えてマグロにここまで火入れしているのはなぜなのか。はたと思ったのは、全く臭みがなかったことと、淡白過ぎない味わい。
ボリュームのある鴨肉と、程よくマッチするには、マグロがちょうど良いのか!?なんて推理をしながら、ワインを飲む。
そんなランチタイムを過ごしたわけである。
そうして私は、来訪することを心に誓った。
ジビエ好き悶絶!2日後の夜に再訪ディナー編
来訪の日は、そう遠くなかった。
ランチを食べたその日に、LINEで妹にその旨を伝えると、即返事が来た。
「食べに行くわ」。
流石私の妹である。
ということで、日を置かず、妹と予定を合わせてディナータイムに来訪。
肉祭りスタート!まずはラムタン&クロコダイルで口慣らし
あまりにも楽しみで、その日は朝飯も昼飯も抜いたのだが、抜いておいて良かった……!と思う程、結果食べまくってしまった。
ブラックボードのトップにはヒグマのローストの文字と、クマのイラストが。
テンション上がってきた……
テンション……上がってきたぁぁぁ!!!!!!
ということで、まずはおすすめのボルドー赤のボトルワイン(2000円)と、肉料理を3つ程度頼む。普段一度に肉を食べまくることはあまりないのだが、今回ばかりは食べたおす気概である。
まずは子羊のタンステーキ。
タンといえど固くなく、程よく口の中でほぐれていく肉。シンプルな塩ベースのソースがこんなにも合うなんて……
元から牛タンなどタンは好きな方だが、初めて食べた羊のタンは、牛タンとはまた違った旨味を感じ、初っ端から唸る美味さだった。
お次はクロコダイルのテール肉焼き。
ワニはよく鶏肉に似てるというけれど、私が感じた歯ごたえはもっと軽いものだった。サクッとしていて、これは肉なのか?と思う程歯切れが良い。淡白な味わいでチリソースととても良く合っている。
この肉には、このソースだからこそ美味いと感じさせられる一品だった。
馬肉盛り合わせに感動!そして豚・鹿・ヒグマへ突入
あっという間に2品をペロリして、次に来たのは馬肉盛り合わせ。
L知ってるか、私馬肉死ぬほど好きなの。
何度でも言うが、私は馬肉がとても好きである。
そんな私が、こんなにボリュームのある盛り合わせを見たことがあっただろうか。よく居酒屋などで頼んで出てくる赤身肉は、こんなに量があったことなどなかった。
それなのにリーズナブル。だから味が悪いなんてことは勿論なく、美味しい美味しい赤身肉であった。
ここに白飯があれば迷わず一緒にかきこんでしまっただろう。
(ランチの馬肉丼、いつか食べよう……)
と、心に誓った私である。
あっという間に頼んだものを食らいつくしてしまったので、次のオーダーをしていく。ちなみにワインも順調に減るのなんの。
ということで、出てきたのは豚肉の煮込み。
ブロック肉で出てきたその豚肉は、芳香を放っている。
いわゆる角煮なのだが、一口食べてみると、予想に反してあっさりめの味わい。
豚肉の旨味がじっくりと楽しめる。
敢えてこういったシンプルな味付けにされるところが、ニクいぜ。
お次は鹿肉のステーキ。
流石、しっかりとした赤身の歯ごたえ。鹿肉は初めてではなかったのだが、こちらも全く臭みがなく、かなりワインに合う。
他の肉に比べて、かなり肉の繊維が細かい感じがする。そして、複雑味があるので、好みは分かれそうだが、ワイン好きの私には死角はない。有難く美味しくいただいた。
そして。。。今回一番楽しみにしていた、ヒグマのロースト。
見た目は赤身っぽいが、やや黒ずんだ印象だ。店員さんに尋ねたところ、どうやらスネ肉らしい。
早速一片を口に運ぶと、始めのアタックから旨味の洪水。
伝えるのが容易ではないのだが、一度にくる旨味の衝撃の大きさは牛肉の比にならない。
例えば、牛肉が、噛めば噛むほど肉汁が出て美味しい!みたいな書き方をするとしたら、クマ肉は、一口噛んだだけで旨味のどでかいパンチがガツンと来る感じ。
いや面白い。未だかつてない味わい。ジューシーではないのになぜこんなに旨味を感じるのか。
脂の感じもさほどせず、ただただ旨味があるのが不思議でたまらない。
変な臭みなど一切なく、一心不乱にバクバクと食べてしまった。
肉以外も侮れない!明太子ニョッキとグリーンカレーのグラタン
ということで、肉ばかり食べていたため箸休めが欲しくなり、明太子のニョッキを頼む。
タケノコと一緒に明太子のソースに絡まったニョッキ。明太子のソースが大好きな私だが、これを食べてさらに驚く。
というのも、思わぬ美味しさだったのである。
要は明太子ソースのパスタではないか。
肉料理に長けている料理店であることはここまでで十分わかっていたが、誠に失礼ながら、このパスタに一見何の意外性もないはずなのに。
ニクいやつだぜ全く。
正直ここに来るならこちらもお勧めしたい一品である。
お次はグリーンカレーのグラタン。
グリーンカレーなんて意外だが、他にも美味しそうなご飯料理が沢山あった。チーズのせバゲットが載っているからだろうか、辛みが先行せず、程よく食べ進め、いつの間にか食べ終わってしまう魔法にかかってしまっていた。
そしてこちらはフォアグラのバゲットのせである。
もうワインと合うことは鉄板中の鉄板。もはや言うのも野暮な美味しさだが、バルサミコ酢とフレッシュなアボカドが本当にいい仕事をしている。
〆は鴨&ハンバーグで大満足!ワイン2本がスルスル消えた夜
そしてここで、鴨肉のステーキ。
鴨肉の美味さはすでにランチで証明済みだが、妹にどうしても食べさせたくオーダー。
ランチディッシュでもそうだったが、なぜか鴨肉はセンターに野菜を置きがちである。一つオシャレな食べ物の魅せ方を覚えたので、きっと私はレベルアップしていることだろう。
さぁ、そろそろ終わりに近づいてきた。お次はハンバーグだ。
まるっとした形が何とも魅力的。デミグラスソースの美味さもさることながら、俵形というより、どちらかというと球形に近いこの形にすることで、肉汁が楽しめる。もう一個頼めてしまいそうなほど美味い。
どれが一番美味しかった?個人的ジビエランキング発表!
ということで、女2人で 食べに来たとは思えない位食べてしまった。料理は計11品、うち肉料理はなんと9品。ワインは2本開けたのだが、お会計はなんと13000円程度。
こんなに美味しいものばかりの食事を楽しませてもらってこのお値段なら、安すぎるくらいである。
再訪することは必然なのだが、最後に今回私が食べた肉料理のランキングをメモがてら残しておきたい。
- ヒグマのロースト(今まで食べたことのない旨味の強さの面白さ)
- 子羊のタン(ジューシーで雑味がない美味さ)
- 馬肉の盛り合わせ(ボリュームの多さと私の好み)
- ハンバーグ(肉汁の多さと満足感)
- クロコダイルのテール焼き(歯ごたえの面白さとチリソースとの相性の良さ)
- フォアグラのバゲット載せ(鉄板の美味さ)
- 鴨肉のステーキ(ランチで先に食べていたことによる驚きの少なさ)
- 鹿肉のステーキ(やや複雑味があり、他の肉と比較するとこの位置)
- 豚肉の煮込み(ワインと合わせるより、カクテルと合わせたい美味しさ)
ジビエの奥深さに開眼!ヘルマーズキッチンは“肉の冒険ランド”
まさかランチでふらっと立ち寄ったお店で、クロコダイルやヒグマ、果てはスズメやマンボウまで食べられるとは……。
国分寺の「ヘルマーズキッチン」は、ジビエ初心者から肉マニアまで楽しめる“珍肉の宝庫”。しかも、どの料理もワインと好相性なのが嬉しいところ。
「お手頃価格で、ここまでの体験ができる店はなかなかない」というのが、正直な感想。
定番肉に飽きてしまった方、新しい味に挑戦してみたい方は、ぜひ一度この“肉の異世界”を訪れてみていただきたい。
そしてできれば、空腹で、できるだけ胃に余裕を持って!笑
私は間違いなく、また行くこと間違いなしだ。
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