皆さんは、「オーストラリアの甘口ワイン」を飲んだことはあるだろうか。
オーストラリアのワインといえば、赤ワインは味わいが濃厚だし、白ワインはフルーティで飲みやすいものが多い。そして何より手頃な価格で美味しいのが魅力だ。
そんな風にデイリーでオーストラリアワインを楽しむことが少なくない私だが、この度初めてのオーストラリア産の甘口ワインを飲む機会があり、この記事を認めるに至ったわけである。
甘口のワインといえばイタリアワインが日本では有名だが、今回紹介するワインは、女性や甘口ワイン好き、ならびにブランデーなどのお酒が好きな方にも、ぜひオススメしたい一品だ。
バレンタインが近くなるこの頃、彼との時間をこのお酒と一緒に楽しむのもいいかもしれない。
フォーティファイ ・マスカット
ということで、早速紹介したいのがこちらの「フォーティファイ・マスカット」である。
味についてコメントする前に、ちょこっとこのワインのお話を。
細長くてスタイリッシュなこのワイン、これは普通のワインより少し度数がお高めの約17度だ。
だからといってきつーいお酒ではないので、ご安心を。
そう、こちらはいわゆる酒精強化ワインといわれるもので、醸造過程でアルコールを添加して多少度数を高めたものだ。
元々オーストラリアでは、イギリスへの輸出用に長期の輸送に耐えうる保存性の高いお酒として酒精強化ワインを長く醸造していた背景があり、美味しい酒精強化ワインが沢山あるという。
このワインは、そんなオーストラリアの広大なワインの銘醸地、それもなんと東京ドーム5個分といった葡萄畑を有する創業100年を超える老舗のワイナリーが作り上げたものである。
敢えて遅摘みにし、干し葡萄になった状態にしてつくられたワインは、糖分の甘味や葡萄本来のフレーバーが、ぎゅぎゅっと凝縮されている。
さらに、酒精強化されていることにより、味わいにも個性が出て、さらに趣深い、面白いワインになっているのである。
ちなみにこのワインは、日本のクラウドファンディングで100万円以上の多くの支援を得たスペシャルなワインらしい。
私も早速試さずにはいられないわけである、、!
王道の飲み方、濃厚とろ~りな味が楽しめる「ストレート」
さて、早速コルクを開けると、ふんわりとマスカットの甘い香りが漂ってきた。
グラスに注ぐと少しトロリとした黄金色のそのワインは、まるではちみつのようにも見える。
一口目。
口に含むと、マスカットの甘味が凝縮された味わいがはっきりと感じられる。
甘口ワインはこうでなくちゃ!
そう思っていたら、意外にもすっきりとした後味に驚く。
ほう?
二口目。
マスカットの甘味のほかに、ブランデーの様なコクを感じる。
しかし、またしても後味はドライだ。
面白い。
三口目。
これは……とニヤッとする。
自然と飲み進めたくなる、魔性ワイン。
甘味とコクがあるのに、後を引かせない。
こりゃあ食前酒に良いぞ。
おのずと、料理やつまみにも手が伸びる。
日本での甘口ワインといえば、食前酒というよりデザートワインとして飲みがちだが、おそらく日本が刺身や寿司などの生で食べる食材が多いためではないかと個人的には思っている。
私もそれに漏れず、貴腐ワインやアイスワインなどの甘口ワインは、後味にゆったりとした甘い余韻が残るので、食前よりも、食事の締めくくりとして飲むのが好きなのだが、このワインは、寧ろ食前に持ってきたい一品、次の一口を運びたくなる。
さらに、ただの甘口ワインとしてではなく、酒精強化ワインとしてこのワインを飲んだときに面白いと感じたのは、酒精強化として有名なシェリーやポートワインとは異なり、お酒を飲みなれている人だけではなく、お酒に慣れていない女性なども美味しく飲めるというところ。
酒精強化ものに苦手意識を感じている人は、このワインから始めてもいいかもしれない。
ちなみにつまみは、レーズンとブルーチーズ、それにクルミ。また、写真には写さなかったが、ガーナの板チョコも一緒につまんでみた。
甘口ワインとブルーチーズといったらTHE王道なところもあるが、ブルーチーズ特有のピリッとした辛さと、ワインのコクがちょうど良い。
ブルーチーズが苦手な人は、チーズケーキなんかも良いかもしれない。
そして何より、チョコレートを合わせてみてほしい。ワインにはブランデーの様なコクがあり、チョコのちょっとした苦味と甘味にとてもぴったりなのである。
バレンタインにトリュフチョコレートと一緒にワインをプレゼント……なんていうのもオツである。
甘口スパークリングワイン風の「炭酸割り」
さてさて、このワインを軽口でもっと飲みやすくしたい方には、「炭酸割り」がオススメ。
赤の甘口スパークリングワインのランブルスコや、アスティなどのマスカットの甘口スパークリングワインなら好きというようなワイン初心者の女性には、程よい甘さで楽しむことが出来て良いかもしれない。
このワイン自体にもコクのある甘味があるので、炭酸割りにすると、普通のスパークリングワインとは異なった味わいになり、これまた面白かった。
ちなみに、オーストラリアでは白ワインの品種としてセミヨン種も有名だ。
こちらのワイナリーではマスカットの他、セミヨンの酒精強化ワインも作られているので、飲み比べも楽しいかもしれない。
(というか、もし先にマスカットを飲んだなら、恐らくセミヨンを試したくてたまらなくなるだろう……笑)
お酒の新しい世界がまた開けること請け合いだ。