皆さん、ワインは好きだろうか。
食事に合わせる飲み物の好みというのは人それぞれかもしれないが、数ある飲食店の中には、店主のこだわりで、「○○な人お断り」のお店がある。
今回は、「ワインが飲めない人お断りのお店」で、非常に美味しいお店があると紹介を受け、武蔵小山の焼き鳥屋まで足を運んだので、そんな店主のこだわり満載のお店について、書いていきたいと思う。
店主のこだわり
ということで、今回は武蔵小山にある焼き鳥屋「SHINORI(シノリ)」まで来たわけだが、実はこの店には「ワインが飲めない方お断り」ということ以外にも、いくつか決まりごとがあり、それこそが店主のこだわりなのだ。
お店のツイッター紹介文には、お店について以下のように記載されている。
「ワイン好きの焼鳥屋です。楽しんでくれる方大歓迎です!ワイン飲めない、ご飲食済、焼鳥を食べない、香水くさい、未成年、ワインの知識を自慢、タメ口、無断撮影、マナーモードにしない輩、お断りさせていただきます。Facebookやってます」
ここのツイッターでは、料理やワインへの愛が深すぎて、たまーに意に沿わないお客さんについて素直に思っていることが書かれているようなのだが、それほどこだわり抜いているお店であることは、先に伝えておきたいと思う。
事実、この店はミシュランガイドのビブグルマン(コスパが良くて美味しいお店に贈られる評価)に選ばれており、そのこだわり抜いて提供された食事は確かに評価されているのである。
早速入店!
ということで、駅から数分の商店街に入り、目的の店を発見。階段を上り、お店の中に入ると、カウンター席といくつかのテーブル席を合わせて、ざっと15席程の席数で、開店時間から早速女性客でにぎわっていた。こちらはフレンチ出身のシェフとソムリエの奥様と二人で営まれているらしい。
ほう、それで焼き鳥屋×ワインなのかあ、と納得。予め、5000円ほどのコース料理をオーダーしていたので、どんな食事になるのか、早速ワクワクが止まらない。
ということで、飲み物をオーダー。勿論ワインである。暑くなってきたので、やっぱり最初は泡が飲みたい!ということでソムリエの奥さんにお願いすると、お勧めのスパークリングを3種類持ってきてくれた。
味の説明にも愛がこもっていて、どのワインも気になる中で、写真向かって右のクレマンドブルゴーニュをオーダー。
乾杯し、ゴクッといくと……酸味がきいていてうまい。
はよう料理と一緒に合わせたーい……!
なんて思っていたら、冷菜が登場。
ピクルスやラタトゥイユなど、今の季節に食べたいものが揃っている。
お箸で頂くスタイルのようだ。お箸、使いやすくて、いいよね。
もちろんお味も当たり前のように美味しく、特にラタトゥイユは、野菜の甘味がほわっとにじみ出ていて、もっと食べたくなる位だ。
さっぱりめの焼き鳥たちと白ワイン
次に出てきたのは、まず栃木産の大きなグリーンアスパラ。
酸味のあるソースと、程よく焼いたアスパラがぴーーったりなのである。これくらい大きいアスパラだと食べ応えがあり、満足感があふれる。
食欲が更に3割ほど増して次の料理へ。
お次は焼き鳥串。刻んだオリーブのソースを載せてあり、こーれがワインと合うんだまたぁ。オリーブの油分と独特の果実感がさっぱりめの肉に心地よく絡み合う。
あまりにも美味しかったので、思わず家でもあの味を作ろうと、ひそかに練習しているこの頃である。
ということで、この辺りで当たり前かのように白ワインを飲みたくなり、濃すぎずあっさりしすぎずをテーマに持ってきてもらった。
先ほどのスパークリングの作り手のワインもあり気になったものの、ここはぐっとこらえてロワール地方のワインをオーダー。
先にワインだけ味見すると、あっさりした味わいなものの、肉の脂にもしっとり合わせられるようなバランスがあり、さすが選んでくれただけのことはあるなあと感心してしまった。
そうしてやってきた串はねぎま。こんなにボリューム感のあるねぎま見たことない。
というか、肉とねぎのどちらにもボリュームがあり、さらに、肉はせりという、筋肉の部分なので、非常に食べ応えもありながら、しつこくなく、白ワインが本当に合う!
お次はおつまみで、フォアグラのせ卵がやってきた。
あぁもうわかる、うまいわこれ。
これを……
こうして……
ぐしゃぐしゃぐしゃっとかき混ぜるわけである。
すると、あっという間にコクのあるパテに。
パンにのせて食べると、これがまた美味しい。
フォアグラのパテだけならば今まで結構食べたことがあるが、これと卵を合わせると、味がぼやけるわけでもなく、むしろ味に深みが出ているのだ。
これは面白い発見だなーと思いながら、パンをむぐむぐっと頬張りワインをゴクッと。
そうして焼き野菜の二品目がやってきた。静岡産の新玉ねぎ焼だ。
でっぷりした新玉ねぎが、こんがりと焼かれているのだが、見た目からは想像もつかないくらいに甘い。野菜自体のみずみずしさが伝わるようなうまさ。そして柔らかい。新玉ねぎならではの美味しさをこれでもかっ!!!!と堪能させていただいた。
焼き鳥たちと赤ワイン
そんなこんなでワイン3本目は、、、やはり赤である。
焼き鳥の味を楽しみたく、濃すぎずクセありすぎない果実味たっぷりタイプで!とオーダー。持ってきてもらったワインをいちいち全部試したくなるから、本当奥さんは説明上手である。
そうしてつまみの砂肝のアヒージョが。一つ一つ大きく、味わいもしっかりしている。
そして、立て続けに、焼き鳥串が3本。
つくねと……
レバーと……。
せせり(首肉)だ。
どれも非常に部位ごとの良さが引き出されていて一つ一つ美味しかったのだが、とくにせせりは、脂ののり具合と身の締り具合のバランスがとても良く、噛むほど肉汁がじゅわーっと出てきて、味わいある一品だった。
こちらは、牛脂を塗ったズッキーニと鶏肉。
ぎゅ、牛脂塗ってあるの!!!?へぇえ、初めて見た。
と、どんな味なのか全く想像がつかず、半ば興奮気味に食したが、ズッキーニにありがちな「あっさりしすぎ」な問題が牛脂を塗ることによってズッキーニのいいとこどりしており、
こちらは大阪の焼きなす。なめらかでコクのあるソース
お次はどどんと、ウズラの炭火焼き。
思わずあんよを撮影してしまったが、良い意味で獣の味がして、深みのある美味しさ。独特な獣感については、苦手な人は苦手かもしれないが、ワイン好きなら恐らくペロリなのでモウマンタイ。
〆は鶏ガラスープ。
ほのかにコクを感じながらさっぱりと飲ませる不思議な味。え、もうちょっと食べたい!と思わせる絶妙なスープだった。
最後に食後酒をオーダー。
ヴァンドパイユ(藁ワイン)で、こっくりとした甘口で仕上げ。
ワイン好きが集まるお店
ということで、お店の感想としては、こだわり抜いているのは伊達ではなく、食事はとても美味しかった。鳥をあんなに美味しく食べさせてくれるお店はそうそうない。
ちなみに、例えば同じコースを隣同士の席の人が頼んでも、頼まれたワインによって、メニューを変えることもあるという。
最初聞いた時は少し驚いたが、ワインと食材の味を一番知っているのはお店なのは間違いない。そんなオーダーメイド感も味わえるわけである。
ただ、ワインをあまり飲めない人には、実際に注意というか、たしなめるようなこともあったので、それを踏まえたうえで食事を楽しむ!という気持ちで臨むことをお勧めする。