右手にはワインを、左手にはビールを。

美味しいの裏側には、作り手のストーリーがある。Googleレビュー上位5%の酒好きが綴る食と酒のノンフィクション。

鳩ノ巣渓谷と癒しの奥多摩日帰り旅|自然と温泉に癒されながらビールを味わう

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鳩の巣渓谷の絶景

鳩の巣渓谷の絶景

週末の都会の喧騒から、ふと逃げ出したくなる瞬間が皆さんにはあるだろうか。

とある日、母親からLINEが届き、そこには「癒されたい!」の文字が。今は実家を離れて暮らしている私だが、日々にちょっと疲れた母からのSOS(本人はそんなこと思ってないかもしれないが(笑))を受けたからには『癒し』を探さないわけにはいかない。

そうして騒がしい街を離れ、自然の中でゆっくりと過ごせる癒しの場所を求めて辿り着いたのが、東京都奥多摩町・鳩ノ巣だ。

渓谷の川音に耳を澄ませ、無心で歩き、湯に浸かる。

そして最後に、雰囲気のあるカフェで静かにランチと本を楽しむ。

そんな食と自然、そして静けさに癒される贅沢が、このエリアにはある。

今回は、JR青梅線・鳩ノ巣駅から始まる日帰り旅のモデルコースをご紹介していきたい。

鳩ノ巣渓谷の自然美を歩く|川音と岩に包まれるひととき

鳩ノ巣駅を出て、通り道にある看板を頼りに鳩の巣渓谷へ向かう私。

道看板を頼りに鳩の巣渓谷へ

道看板を頼りに鳩の巣渓谷へ

さらに数分ほど歩いていくと、渓谷へ降りていく道が見えてきた。一方通行の道ではなく、一周できるようで、双竜の滝から向かう道と鳩の巣小橋から向かう道どちらかを選ぶことができる。

鳩の巣渓谷は双竜の滝から向かう道と鳩の巣小橋から向かう道があるようだ

鳩の巣渓谷は双竜の滝から向かう道と鳩の巣小橋から向かう道があるようだ

今回は双竜の滝方面から降りていくことに。

廃墟となった家を傍目に、切り立つ岩とザーッ……という滝の音の方へと進んでいく。これが鳩ノ巣渓谷の入口だ。

渓谷沿いには遊歩道が整備されており、スニーカーでも問題なく歩ける。

派手さはないが、岩と苔と水音が織りなす静の風景に包まれながら歩を進める時間は格別である。

鳩の巣渓谷にある双竜の滝

鳩の巣渓谷にある双竜の滝

遊歩道を奥へ進むと、左手に現れるのが「双竜の滝」

岩肌に沿って落ちていく水の流れや水しぶきの音は心地よく、特に春から夏にかけては水量が豊かなので、苔むした岩肌と清流が織りなす風景が格別だ。

さらに渓谷を進むと分かれ道があり、階段上に小さな鳥居と「水神宮」の文字が書かれた石碑を発見。

玉川水神社(水神宮)の鳥居

玉川水神社(水神宮)の鳥居

この石段を登っていくと、「玉川水神社(水神宮)」の祠が現れる。

この社は、古くから多摩川の水源と流域を守る水の神・罔象女神(ミヅハノメノカミ)を祀る場所だそうで、漁業者や農民たちの信仰を集めてきたとのこと。

玉川水神社(水神宮)の社殿

玉川水神社(水神宮)の社殿

多摩川が流れる音を聞きながら、祠に手を合わせる。

手入れされているのかしら、綺麗な祠だなぁ、なんてことを思う。

そうしてお参りを済ませ、階段を下るときにあまりにも毛がふさふさな毛虫が目に入る。

いつもなら真っ先に怖がってしまう私だが、まるでジブリに出てくるまっくろくろすけのようなその出で立ちに目が釘付けになってしまった。

まっくろくろすけの邪魔にならないように慎重に階段を下り、少し歩くと、鳩の巣の由来碑を発見。

それによると、この地はかつて、江戸と山間部を結ぶ物流ルートの中継地でもあったそうだ。日原方面の木材や炭を運ぶ際の休憩所がこの渓谷近くに置かれ、「鳩の巣飯場」として旅人や職人に飯を振る舞っていたという。

鳩ノ巣渓谷にある由来碑

鳩ノ巣渓谷にある由来碑

「鳩の巣」という地名の由来には、とある鳩の物語があるようだ。

あるとき、水神社の森の中に、二羽の鳩が巣を作った。朝夕には仲睦まじく餌を運び合うその姿に、人々は心を打たれ、霊鳥として大切に守ったという。

やがてこの地は、そんな鳩たちにちなんで『鳩の巣』と呼ばれるようになった……とのこと。

鳥が巣を作り、人が祠を建てた。自然と人の営みが重なる土地として、この場所は今も静かに息づいているのを感じる。

さらに道を進んでいくと、「鳩ノ巣小橋」という吊り橋に差しかかる。

鳩の巣小橋の景色

鳩の巣小橋の景色

川を真上から覗きこむと、その透明度の高さに思わず息を呑む。

鳩の巣小橋から覗いた川の景色

鳩の巣小橋から覗いた川の景色

実はこの鳩の巣小橋、そこそこ揺れるのに加え、川を覗き込もうものならそこから落ちてしまうのではないかというほど心許ない手すりなので、高所恐怖症の方には少々厳しそうだなと感じる。

しかしこの場所から覗く景色はやはり美しく、見ているだけで心が澄んでいくような気持ちになるのも本当だ。

この日も、登山客や外国人観光客の姿がちらほら。だが、騒がしさはまるでなく、皆それぞれの静けさを楽しんでいるようだった。

鳩ノ巣渓谷は自然の中に自分を置くための場所。スマホの電波は問題なく入るが、通知を切って、川音と一緒に流れていくような時間を過ごすのが、この場所の正しい楽しみ方かもしれない。

鳩ノ巣駅からのアクセス|東京からの行き方と駅の雰囲気

鳩の巣駅の看板

鳩の巣駅の看板

東京都心から電車一本…とはいかないが、それでもアクセスは悪くない。
新宿から中央線で立川へ出て、そこから青梅線に乗り換えて約100分。 乗り換えは1回だけで済む。奥多摩方面の旅にしては、かなり手軽な部類だ。

鳩の巣駅の木造駅舎

鳩の巣駅の木造駅舎

到着した「鳩ノ巣駅」は、まるで映画のワンシーンに出てきそうな木造駅舎。ホームには山の緑が迫り、駅舎内には木枠の窓や古い案内板が残っている。現代的な設備はないが、それがまた旅情を誘う。

鳩の巣駅構内にある登山届ポスト

鳩の巣駅構内にある登山届ポスト

構内には「登山届ポスト」や、「渓谷・白丸ダム・KIKORI CAFE」などへの道標も整っており、迷いようがないほど案内が充実している。

鳩の巣駅の可愛らしいステンドグラスの装飾

鳩の巣駅の可愛らしいステンドグラスの装飾

駅を出た瞬間に感じるのは、空気の違い。ひんやりと湿度を含んだ山の空気が、肺をすっと通り抜けていく感覚がある。

写真に収めたくなるポイントも多く、ステンドグラスの装飾や、昔ながらの木看板など、駅そのものが静かな見どころだ。改札を抜けたところに旅の雰囲気がある。それが鳩ノ巣駅の魅力である。

はとのす荘で味わう静寂の湯|日帰り温泉体験記

鳩ノ巣渓谷を一巡りしたあとは、徒歩数分で到着する「はとのす荘」へ。

はとのす荘看板

はとのす荘看板

旅館併設の温泉だが、日帰り入浴も受け入れており、地元の人にも親しまれている。

入口に設置してあった案内板を確認したところ、入浴可能時間は11:30~15:00(最終受付14:30)とのこと。

以前はランチ営業も行っていたようだが、残念ながら2025年8月現在はお休み中とのこと。

はとのす荘の案内板。日帰り入浴の入浴可能時間とランチ営業に関する案内が記載されていた

はとのす荘の案内板。日帰り入浴の入浴可能時間とランチ営業に関する案内が記載されていた

今回は日帰り温泉でリフレッシュするために来たのでモウマンタイ。

入口には風鈴が並べられており、風がそよぐたびにチリンチリンと心地の良い音を奏でている。

風鈴の音に誘われるようにはとのす荘の玄関へ進む

風鈴の音に誘われるようにはとのす荘の玄関へ進む

玄関をくぐると、木の香りと静けさに包まれる。館内には派手さはないが、渓谷を見下ろす窓からの景色が印象的だった。

窓からは渓谷の景色を楽しむことができる

窓からは渓谷の景色を楽しむことができる

風呂は内湯と露天風呂の両方が備えられ、それぞれに異なる源泉が引かれているとのこと。

はとのす荘の公式HPによると、2017年には宿のすぐ近くから湧き出る「鳩ノ巣温泉」の自家源泉が開湯し、従来からの「鶴の湯温泉」とあわせて、二種類の湯を楽しめる贅沢な構成となったそうだ。

  • 鳩ノ巣温泉(自家源泉)
     泉温:16度/泉質:メタほう酸含有
     効能:冷え性、関節のこわばり、胃腸機能低下、軽度高血圧など
  • 鶴の湯温泉(運び湯)
     泉温:28度/泉質:アルカリ性単純硫黄泉
     効能:神経痛、慢性婦人病、リウマチ、冷え性など

(引用:はとのす荘公式HP

どちらも、美肌の湯とされる成分を豊富に含み、湯あたりが柔らかい。
浴槽越しに見える渓谷の緑は、心身ともにほどけていくようである。

サウナなどはないが、必要最低限の設備と圧倒的な静けさが、この宿の魅力でもある。

はとのす荘ロビーには地元情報誌や沢山のお土産が並ぶ

はとのす荘ロビーには地元情報誌や沢山のお土産が並ぶ

湯上がりには地元の情報誌やお土産が並ぶロビーを見て回ることも出来る。中には地酒や川魚のスモークなどもあり、日本酒やおつまみ好きな私にとっても魅力的なラインナップが並んでいた。

この控えめな癒しは、にぎやかな温泉地にはない価値である。

店舗情報(2025年8月時点)

□ 店名:はとのす荘

□ 住所:〒198-0106 東京都西多摩郡奥多摩町棚沢662

□ アクセス:JR青梅線「鳩ノ巣駅」より徒歩約5分

□ 電話番号:0428-84-7123

□ 日帰り入浴時間:
11:30〜15:00(最終受付 14:30)

□ 入浴料金:
・大人:1,150円
・子供(4才〜小学生):660円

□ タオル料金:
・フェイスタオル:110円(販売)
・バスタオル貸出:330円
・タオルセット(フェイス+バスタオル):420円

□ 泉質:
・鳩ノ巣温泉(メタほう酸泉)
・鶴の湯温泉(アルカリ性単純硫黄泉)

□ ランチ営業:現在休止中(2025年8月時点)

□ 休館日:不定休(事前に確認を推奨)

□ 公式サイト:
▶︎ はとのす荘【公式サイト】

□ 宿泊予約(楽天トラベル):
👉 楽天トラベルで「はとのす荘」を見る

KIKORI CAFEで一息つく|木の香と本に囲まれて

鳩の巣渓谷近くにあるKIKORI CAFEの外観

鳩の巣渓谷近くにあるKIKORI CAFEの外観

温泉の湯気でほどけた心と身体を、さらにほぐしてくれるのが「KIKORI CAFE」
はとのす荘からは徒歩2分、ちなみに鳩ノ巣駅からも徒歩3分という好立地。元木工ギャラリーだった空間を、店主が自ら手を加えて作り上げた温もりのカフェだ。

KIKORI CAFEの壁面本棚にはおくたま文庫が並ぶ

KIKORI CAFEの壁面本棚にはおくたま文庫が並ぶ

店内に入ると、開放的な木の空間が目に入ってくる。

カフェの左奥には壁一面に並んだ「おくたま文庫」が。絵本や旅本、小説、詩集、写真集。選書には偏りがなく、どれも静かに味わう本が揃っている。

母と私で、ピクルスが付いたハム&チーズサンド(税込800円)のサンドウィッチと、スープ・バゲット・ピクルスが付いたスーププレート(税込800円)をミネストローネのスープで注文。

KIKORI CAFEのハムチーズサンド

KIKORI CAFEのハムチーズサンド

二人で料理をシェアしながらまったりと過ごす。

KIKORI CAFEのスーププレート(ミネストローネ)

KIKORI CAFEのスーププレート(ミネストローネ)

香ばしいバゲットに挟まれたハムととろけたチーズ、スープはじんわり甘い野菜の旨味。ピクルスも爽やかな酸味で、まるごと癒しのランチだった。

もちろんここには、ビールも添えて。

こんなシーンでいただくのは、一際美味しく感じる瞬間である。

ハートランドのビールの小瓶をコップに注いだら……。

ハートランドのビールの小瓶をコップに注いだら……。

客層は様々だが、なかには一人客も。

外国人観光客の姿もあり、英語メニューや気さくな雰囲気も相まって、初めてでも安心して入れる空間だ。

メニュー表を持っている木で作ったロボット型の人形

メニュー表を持っている木で作ったロボット型の人形

平日なんかは珈琲をすすりながら本を読むのも楽しいだろうなぁ。そう思えるような、素敵なカフェだった。

店舗情報(2025年8月時点)

□ 店名:KIKORI CAFE TOKYO(キコリカフェ トーキョー)

□ 住所:東京都西多摩郡奥多摩町棚澤403

□ アクセス:JR青梅線「鳩ノ巣駅」より徒歩約3分

□ 営業時間:10:00〜17:00(不定休)
※詳細はInstagramで最新情報を確認

□ 電話番号:0428-85-1444

□ 支払い方法:現金のみ

□ Instagram:
▶︎ @kikori_cafe_tokyo(営業情報・メニュー更新あり)

この旅が向いている人|一人旅、自然派、静けさ好きへ

今回紹介した鳩ノ巣のモデルルートは、派手さこそないが、静かに満たされる旅である。

こんな人に特におすすめだ。

  • 都会のストレスから距離を置きたい人
  • 自然に触れながらも、登山のようなアクティブさまでは求めていない人
  • ひとり旅でも浮かずに過ごせる場所を探している人
  • 温泉と食と静けさ、この三拍子を求めている大人

所要時間はおおよそ5〜6時間
午前10時半ごろに鳩ノ巣駅を出発し、渓谷を散策し、温泉に浸かってからカフェでランチ。
そのままゆっくり電車に揺られて夕方には都内に戻れる、ちょうどよいボリューム感だ。

特別な準備は必要ない。スニーカーと軽装で、あとは日々の疲れを持ってくるだけ。
自然と、人の温かさと、少しの静けさが、この小さな町には揃っている。

日帰りで心が整う奥多摩の過ごし方|今日のルートをもう一度

鳩の巣渓谷の景色に癒される

鳩の巣渓谷の景色に癒される

自然を歩き、湯に浸かり、食を味わう。
それだけのことなのに、帰る頃には気力が満ちている。それが鳩ノ巣で過ごす一日の力だ。

本記事で紹介したモデルルートを振り返っておこう。

モデルルート再掲

10:30頃|JR鳩ノ巣駅到着
 → 木造駅舎と鳩の巣の空気に触れる

10:45頃|鳩ノ巣渓谷を散策
 → 川の音に包まれながら、自然の中を歩く

12:00頃|はとのす荘で日帰り温泉
 → 緑を眺めながら、静かに湯を堪能する

13:30頃|KIKORI CAFEでランチ
 → 木の温もりと本に囲まれながら、まったりランチ

15:00頃|電車で都内へ帰路
 → 癒しを持ち帰る

奥多摩にはまだまだ知られていない静かな旅の原石が点在していそうな気配がする。その中でもこの鳩ノ巣エリアは、アクセスの良さと癒しの濃度が絶妙に共存する場所だ。

鳩の巣駅の線路

鳩の巣駅の線路

自然に癒されたくなったら、ぜひこの奥多摩旅をおすすめしたい。

 

📺実際の雰囲気はYouTube動画でもどうぞ!

 

▼奥多摩周辺の旅記事はこちら

www.cheers-winebeer.club

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この記事を書いた人:らむこ

おいしいものと人の温かさを探して、あちこち食べ歩いています。
レビュー歴10年以上、Googleレビューでは全国上位5%のレビュアーとして活動中。ブログやSNSでは、料理の味だけでなく、空間や人柄、ちょっとした気づきまで伝わるようなレポートを心がけています。
日々の食がちょっと楽しみになるような、そんなヒントをお届けできたらうれしいです。