皆さんはホームパーティ―は好きだろうか。今でも年に3回は実家で開催されているホームパーティーだが、ただパーティーを楽しむより、テーマを一つ設定することで、その取り合わせはグッと面白く、楽しい時間にものになる。
ダ・ヴィンチをテーマにしてパーティーをする家庭は我が家くらいかもしれないので、今回は比較的ライトなテーマで開催された際の様子を、少し紹介しようと思う。
「不思議の国のアリス」テーマ
「不思議の国のアリス」で一番印象的なモチーフと言えばやはりトランプ。トランプを物語の中で使った理由についての考察を調べてみたら色々あったので、一部紹介してみたいと思う。
➀イギリスのトランプ文化
トランプはイギリスの伝統的な娯楽の一つで、特にヴィクトリア朝時代には広く親しまれていたという。この身近なモチーフを用いて、日常が「不思議の国」になり、トランプのキャラクターたちを登場させるという演出をすることで、読者に親しみやすく、かつ不条理な世界を表現していたのではないかと言われているらしい。
②階級制度の象徴
トランプのカードには「クイーン」をはじめ「キング」・「ジャック」など役職のあるキャラクターが登場し、作品の中でも女王や王が権威ある存在として登場している。
これがヴィクトリア朝時代の厳格な階級制度や権力関係の風刺だと言われていて、特に無慈悲で気まぐれな性格の「ハートの女王」を通して権威の滑稽さを描こうとしていたらしい。
ちなみにこのトランプのお皿は私の母の作品である。
ちなみにこちらのお店でも販売しているので、興味がある方は覗いてみてほしい。
さて、次に紹介するのはイチジククルミと洋梨のタルトの上に載っているホワイトチョコレートの時計ウサギ。
時計ウサギ(The White Rabbit)は、不思議の国のアリスの物語のきっかけを作る重要なキャラクターだ。物語の冒頭で彼が「遅刻、遅刻!」と言いながら時計を気にして走り去っていく姿に興味を持ったアリスが、ウサギを追って小さいの穴に飛び込んだところから、冒険が始まりまっていく。
なんとこの時計ウサギ、ヴィクトリア朝時代の時間に対する厳格な態度を象徴していると言われている。その当時は鉄道や産業革命による影響から、時間を厳守することがとても重要視されていたそうだ。だから、時計ウサギがいつも時間に追われているキャラクターとして描かれているのは、時代背景の一部を反映していると考えられているのだそうだ。
そしてこちらはクッキーのチェシャ猫だ。
チェシャ猫(The Cheshire Cat)の印象的なシーンは、その姿が徐々に消えていく能力により、最後には口元の笑みだけが残るという場面。不安な気持ちのアリスを残して消えるという不思議で謎めいたキャラクターで、作品の中でも象徴的なイメージとして語り継がれている。
実はこのチェシャ猫という名前には興味深い背景があるらしく、「チェシャ」という部分はイングランドのチェシャー州(Cheshire)を指していると言われていて、この地域では当時「チェシャ猫のように笑う(grin like a Cheshire cat)」というフレーズがあったというのだが、この由来にはいくつかの説があるらしく、その一つはチェシャー州が酪農地帯でチーズが豊富だったため、猫が喜んで笑っているというものもある。
お次に紹介するのは、すいかのドードー(鳥)。
実はドードー(Dodo)は、作者であるルイス・キャロル氏自身を象徴するキャラクターだと言われている。キャロル氏の本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソン (Charles Lutwidge Dodgson)といい、その名字である「Dodgson」の部分が「Dodo(ドードー)」と似ていることから、キャロル氏はドードーというキャラクターを自身の分身として登場させたという。
また、キャロル氏には軽い吃音があったと言われていて、自分の名前を言おうとしたときに「ドードー」とつっかえてうまく言えなかったことが名前の由来だという説もあるらしい。
こちらは飲むと大きくなったり小さくなったりするドリンク。「DRINK ME」「EAT ME」と容器に書かれた飲み物や食べ物を摂るアリスは、本当に素直というかなんというか……。ちなみにこれはスイカのジュースだ。美味しかった。。。
こちらはバラを模したお刺身の盛り合わせだ。
アリスがハートの女王の庭園に足を踏み入れたとき、庭師がバラの木にペンキを塗って色を染めるという場面がある。
このシーンは、イギリスの「薔薇戦争」(※15世紀にイングランドで起きたランカスター家(赤いバラの象徴)とヨーク家(白いバラの象徴)による権力争い)を暗示していると言われていて、作中の白いバラを赤く塗り替えるという行為は、権力争いや支配のため、表面的な見てくれを整えようとする象徴的なシーンだといわれている。
すぐに「首をはねろ!」と命令するハートの女王に対して、彼女の機嫌を損ねないようにバラの色を偽るこのシーンは、表面的な忠誠を表していて、絶対的な権力に対する皮肉が込められているそうだ。
こうしてみると、このアリスの物語はだいぶ風刺的だが、ディズニーでもアニメになっていて、小さい頃の私にとっては知る由もなかった……笑。今見返してみると、この風刺的な側面も捉えながら興味深く観ることができるかもしれない。
ちなみにこの時に飲んだシャンパーニュも美味しかったのでついでに紹介したい。
こちらはマグナムサイズなのだが、良年のピノ・ノワールのみを用いて、さらに5年以上もの熟成を経たシャンパーニュ。花のような香りで味わいも非常に華やか。もっと熟成させても美味しいだろうな……!と感じさせる、複雑ながら味わい深い逸品だった。マグナムサイズでもぺろりだった。
「ハロウィン」テーマ
こちらは今年のハロウィンパーティー。ハロウィンと言えばやはり闇のイメージなので、赤と黒を基調として組み立てたそうだ。
実はこういう小道具も沢山あったりする。
ケーキも黒色に。このチョコレートケーキはブラックココアパウダーが使われている。ハロウィンにはうってつけの材料なのだ。ちなみにこちらは妹作。蜘蛛はマカダミアナッツをコーティングしているという。そして蜘蛛の巣は、ホワイトチョコレート。
我が妹ながら、クオリティの高さに感心してしまう。
こちらは同じくブラックココアパウダーを用いて作られたコウモリのクッキーだ。赤ワインにもピッタリ合ってめっちゃ美味しい。
そしてハロウィンといえばやはりカボチャ。カービングナイフでかぼちゃならぬパプリカをくり抜き、茹でてミートソースを詰めてみた。カービングナイフは初心者でも簡単にくり抜けるので、こうしたパーティ―には本当に重宝する。
そして今回は黒色の食品としてキャビアの食べ比べもしてみた。
主には材料の差での食べ比べとなったのだが、特におすすめだったのが国産の宮崎で養殖されたキャビア。繊細な味わいで、養殖でこんなに美味しいんだ!!!と感心してしまった。
ちなみにキャビアと醤油を熟成させたものは、個人的には海苔の佃煮のような味がした……。笑
ちなみにこちらのワイン、色味だけを見ると赤もしくはロゼワインに見えるかもしれないが、なんとオレンジワインだ。
このオレンジワインも非常に家族の中で評判が良かった。樹齢30年のピノグリージョが使われていて、最近よくある自然派ワインのよくある味とは異なり、繊細な口当たりに柔らかな酸味とミネラル感が心地よい。リピート決定した逸品だった。
テーマを設定したパーティーは面白い!
ということで、今回は我が家のホームパーティーを紹介させていただいた。やはりテーマを設定すると、いざ食べるときにも会話が弾むので、より一段と楽しくなることは間違いない。そこのあなたもテーマパーティーに挑戦してみてはいかがだろうか?